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海外テニス

衝突続きの父親と再タッグを組むチチパス。失敗を繰り返さないカギは「自分が主導権を握ること」<SMASH>

中村光佑

2025.07.30

低迷するチチパス(左)は、喧嘩別れした父親のアポストロス氏(右)をコーチに再招聘。果たして今度はうまくいくか?(C)Getty Images

低迷するチチパス(左)は、喧嘩別れした父親のアポストロス氏(右)をコーチに再招聘。果たして今度はうまくいくか?(C)Getty Images

 今年6月初めに自身のチームに招聘したゴラン・イバニセビッチ氏(クロアチア/53歳)とのコーチ契約をわずか1カ月半で解消した元世界ランキング3位のステファノス・チチパス(ギリシャ/26歳)。すでに彼は幼少期から二人三脚で歩んできた父親で元コーチのアポストロス氏を再招聘したと報じられている。

 しかしこの親子は、これまで幾度となく衝突を繰り返してきた。中でも昨年8月の「ナショナルバンク・オープン」(カナダ・モントリオール/ハード/ATP1000)では両者が試合中に激しい口論を繰り広げ、チチパスがボックス席に座っていた父親に退場を求めるという場面も見られたほどだった。

 錦織圭(元4位/現67位)に完敗し初戦敗退を喫したチチパスは、試合後に父親とのコーチ契約を解消。これについてチチパスは海外スポーツメディア『The Athletic』に対し、「自分の直感に基づいて決断を下す必要があった」と語っていた。

 だが26歳は関係がぎくしゃくしたまま、かけがえのない父親との旅が終わりを告げてしまったことをずっと後悔していたそうだ。今年もナショナルバンクOP(カナダ・トロント/7月27日~8月7日)に出場するチチパスは現地7月27日に応じたオランダメディア『Ziggo Sport』の取材で次のように話している。

「昨年、父との関係があのような形で終わってしまったのは本当につらかった。正直その時の僕は、自分自身を見失っていた。本当にひどい状況だったし、ここ数年にわたって築いてきたパートナーシップが、あんな形で終わるなんて思ってもいなかった。後悔していることがたくさんあって、二度と繰り返したくないことも数多くある。僕自身の振る舞いやその時に取った対応も未熟だったし、僕らしくなかったとも思う」
 
 それでも契約解消後は「父とたくさん話をして、多くの時間を一緒に過ごしてきた」そうで、最近も「コーチではなく1人の父親」として、時折ツアーに帯同してくれていたという。

 関係を修復できたことで再び実現した“親子タッグ”。今回は同じ過ちを繰り返さないように、ツアーで若くから活躍してきた自分が「パートナーシップで主導権を握ることを重視したい」とチチパスは意欲を見せる。「父が自分の内なるコントロールまで狂わせてしまった」経験があるからだ。

「父には少し厳しく接していく必要があると思っている。というのも彼は時々、自分1人で色々やろうとしすぎるところがあるんだ。今はそこをうまく調整しているところで、“自分が望む形で物事を進めたい”ということを理解してもらわなければならない。今回のタッグは、過去に僕らが経験した雑なものではなく、以前よりも価値を見出せるものだと考えている」

 現在のチチパスの世界ランキングは30位。これはまだ成長途上だった2018年以来、最も低い順位となっている。短期間で離別したイバニセビッチ氏も太鼓判を押す“親子タッグ”で、悩める26歳の再起を期待したい。

文●中村光佑

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