海外テニス

元世界女王エナンが東京のジュニア大会で実感した選手たちの成長。大切なのは勝敗の先にある「未来への意志」<SMASH>

内田暁

2025.10.19

元世界女王エナンが、全仏OPジュニア本戦出場権を目指す戦い 「ローランギャロス ジュニアシリーズ by Renault」を観戦。選手たちの技術と成長に触れ、勝敗の先にある「未来への意志」の大切さを語った。写真:滝川敏之

 ローランギャロス(全仏オープン)の会場が、東京に出現した――!

 大げさではなく、そう驚かされる光景だった。青空に映える、赤土のコート。"RG(=Roland Garros)"ロゴに、大会公式スポンサーであるRENAULT(ルノー)社やLACOSTE(ラコステ)社のバナー。選手入場時の音楽も、ローランギャロスで流れるそれと同じだ。

 コートだけではない。クラブハウスもオレンジと白を基調とした、クラシカルなデザインに統一されている。そしてコートサイドには……、ローランギャロスを4度制したレジェンド、かのジュスティーヌ・エナン(ベルギー)の姿があった。

「ローランギャロス ジュニアシリーズ by Renault」は、同大会のジュニア部門出場権をかけた地域予選。そのアジア大会が、ローランギャロスと同質のレッドクレーコートを有する第一生命相娯園テニスコートで、2025年10月15日から19日にかけて開催されている。参戦するのは、アジア各国から集った16歳以下のトップ選手たち。その大会会場は空気からして、そこがはるかパリに続いていることを、自ずと選手に実感させていた。

「ものすごく、緊張しました」

 18日の準決勝、鈴木美波との試合に6-2、7-5で勝利した駒田唯衣は、安堵の笑みを、ややぎこちなく広げた。

「会場の雰囲気もすごいし、ボールキッズや線審もいるし、何より、自分が好きな選手が試合を見ていてくれたことに緊張しちゃって」

 そう言う駒田の顔が、ぱっと明るくほころんだ。
 
 ローランギャロスの歴史の一部とも言えるエナンが東京にいるのは、同大会のアンバサダーだからである。連日、会場を訪れ、試合をつぶさに観戦し、直接助言を与えることも。

 赤土の戦い方を誰より知る彼女の目に、アジアの選手たちはどう映っているだろうか?

「この一週間、とてもポジティブな要素を目にしてきました」と、かつての世界1位が言う。

「もちろんここにいる選手たちの多くは、クレーコートでのプレー経験は少ないと思います。それでもこの一週間の間で、とても素早く適応できているのを感じます。まず感じたのは、選手たちのプレー態度です。常に戦う姿勢、ファイティングスピリッツをコート上で見せているのが良いですね。

 技術面では、どの選手も非常に高いなと感じました。多くの選手たちにとっては、これまであまり自国以外の選手と対戦することがなかったと思います。ですから最初は、異なるタイプの選手と試合をして、とまどっていた部分もあったでしょう。でもみんな良い姿勢を貫いている。試合を重ねるごとに、プレッシャーを乗り越える様子など、どんどんプロフェッショナルになっていると感じています。ですから全体としては、非常にポジティブな印象です」
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日本の有望ジュニア対決にエナンが好評価!