男子テニスシーズン最終戦「Nitto ATPファイナルズ」（11月９日～16日／イタリア・トリノ／室内ハードコート／FIN）は大会最終日の現地16日にシングルス決勝を実施。前回覇者で世界ランキング２位のヤニック・シナー（イタリア／24歳）が、同１位のカルロス・アルカラス（スペイン／22歳）を7-6(4)、7-5で下し、殊勲の大会連覇を飾った。

　年間成績上位８名だけが出場できる同大会。今年は４名ずつがビヨン・ボルグ・グループとジミー・コナーズ・グループに分かれてラウンドロビン（総当たり戦の予選）を戦い、各グループの上位２名が準決勝に進出した。

　シナーはビヨン・ボルグ・グループ、アルカラスはジミー・コナーズを共に３勝０敗で通過。現地７日の準決勝でシナーはアレックス・デミノー（オーストラリア／同７位）に7-5、6-2で、アルカラスはフェリックス・オジェ-アリアシム（カナダ／同８位）に6-2、6-4で勝利して決勝へ駒を進めていた。

　昨年から今年にかけ、２人合わせてツアー14タイトルを獲得、さらには最高峰の四大大会でも８大会全てで優勝を分け合ったシナーとアルカラス。両者は今回が16度目の顔合わせで、ここまではアルカラスが10勝５敗とリード。公式戦での直近の対戦は今年９月の全米オープン決勝で、この時もアルカラスが6-2、3-6、6-1、6-4で勝利していた。
  　しかし今回はリベンジを期すシナーが終始持ち前のリスクを恐れないアグレッシブなテニスを披露。速いテンポでベースラインから強打しつつ、華麗なロブを何本も決めるなどアルカラスのお株を奪う多彩なプレーも随所に見せた。キープ合戦となった第１セットをタイブレークの末に先取すると、第２セットは第１ゲームでいきなりサービスダウンするも、リターンゲームで２度のブレークを奪って逆転し、２時間15分で２年連続となる５戦全勝優勝を手にした。

　これでシナーは室内ハードコートで驚異の31連勝。また「ATPファイナルズ」の連覇は史上９人目で、今世紀ではレイトン・ヒューイット（2001～02年）、ロジャー・フェデラー（スイス／03～04、06～07、10～11）、ノバク・ジョコビッチ（12～15、22～23）に次ぐ４人目の快挙となった。母国ファンの前で有終の美を飾った24歳は試合後のインタビューで喜びをこう語っている。

「テニスは個人競技だが、チームの支えがなければ何もできない。年末にこのトロフィーを獲得できるなんて、最高の終わり方だ。今日は非常に僅差の試合だったけど、第１セットではセットポイントを凌げたし、タフな状況を切り抜けられたことにとても満足している。本当に大きな意味を持つ結果になった」

　一方敗れたアルカラスは惜しくも最終戦初優勝はならなかったものの、既報の通り今大会で22年以来３年ぶり２度目の年間１位が確定。表彰式では「今日は本当に素晴らしいレベルでプレーできたと思う」と手応えを口にし、「彼はここ２年ほど、室内ハードでは負けていない。それこそが、彼が偉大な選手であることを証明している。今日の優勝にもふさわしい」と素直に最大のライバルを称えた。

文●中村光佑

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