最高峰の舞台であるテニス四大大会での３度の優勝を含むツアー46勝を挙げ、五輪でも２連覇を経験した男子元世界ランキング１位のアンディ・マリー氏（イギリス／38歳）。昨年のパリ五輪で現役を終えてからも大のゴルフ好きが高じて大会に参加したり、はたまた現役時代の盟友ノバク・ジョコビッチ（セルビア／元１位／現４位）のコーチに就いたりと、話題には事欠かない。

　先日ポッドキャスト『The Romesh Ranganathan Show』に出演したマリー氏は「非常に心配していた」引退後の生活について、「今は楽しめている」とコメント。輝かしいキャリアに終止符を打つことを決めた理由については次のように説明している。

「肉体的に、もう自分が望むレベルでプレーできなくなっていた。引退を決断したのは自分の身体に来るべき時が来たことを告げられたからだ。それに、『自分にはもう残せるものはあまりない』とも感じていた。それでも引退した10日後にキャリアを振り返った時は、自分でも『これほど輝かしい功績を残せたことは信じられない』と思えた」

　今回マリー氏は現役時代の試合後の記者会見などとは異なり、リラックスした雰囲気で進行役からの様々な質問に答えた。現役時代はメディアの自身の扱いにストレスを感じていたが、今はそれからも解放され、全体的に穏やかな日々を過ごせていると語る。
  「キャリア初期には自分らしくあろうとすると、発言の幾つかが誇張されて論争を生むことがあり、それには疲弊していた。僕はメディアへの信頼を失い、閉じこもり、ほとんど話さず、プレーだけに集中していた。でも今はその時とは状況が違う」

　ジョコビッチとのコーチ契約解消後、一時はコーチング技術向上に意欲を見せていたマリー氏だったが、直近の英紙『The Times』のインタビューでは「テニスから離れた日々を楽しんでいる」と語っていた。今もそれは変わらないようで、最近は専らゴルフに打ち込んでいる様子。そこから得られた"考え"をこう明かしている。

「僕はゴルフが大好きだ。もしあるスポーツに情熱を持っているなら、そのスポーツのトップ選手の重要な瞬間に寄り添ったり、エリート選手と一緒に仕事をして意思決定や戦略の面でサポートしたりすることは、とても素晴らしいことだと思う」

　マリー氏が引退後の生活を謳歌しているのであれば何よりだ。今後も彼の第２の人生を応援したい。

文●中村光佑

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