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海外テニス

全米テニス協会の新CEOタイリー氏が過密スケジュールの刷新に意欲「正当なオフシーズンが必要だ」<SMASH>

中村光佑

2026.04.09

マスターズ大会の期間拡張などもあり、過密スケジュールが問題となっているテニス界。豪州連盟から全米協会のCEOに転身したタイリー氏は、正当なオフシーズンの導入に意欲を示す。(C)Getty Images

マスターズ大会の期間拡張などもあり、過密スケジュールが問題となっているテニス界。豪州連盟から全米協会のCEOに転身したタイリー氏は、正当なオフシーズンの導入に意欲を示す。(C)Getty Images

 オーストラリアテニス連盟(Tennis Australia)のCEO(最高経営責任者)を2013年から約13年にわたり務めたクレイグ・タイリー氏は、今年後半に全米テニス協会 (USTA)へ移籍し、新たに同協会のCEOに就任する。先日には、男子テニス元世界ランキング1位のアンディ・ロディック氏(アメリカ/43歳)が運営するポッドキャスト『Served with Andy Roddick』に出演。今後の構想として、ツアースケジュールの刷新に取り組む考えを明かしている。

「トップレベルでは、選手の健康の観点から“正当なオフシーズン”が必要だ」。そう語るタイリー氏は、現行スケジュールの過密日程に強い問題意識を示す。

 海外メディア『tennishead』などによると、25年シーズン終了から26年開幕まで、男子トップ10選手の休養期間は最大でもおよそ70日間程度しかなく、カルロス・アルカラス(スペイン/現1位)は約61日、ヤニック・シナー(イタリア/同2位)は約63日、アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ/現3位)に至っては約41日と、それぞれ極めて短いオフにとどまったという。

 近年は四大大会に次ぐ男子のマスターズ1000と女子のWTA1000の開催期間がいずれも従来の1週間から2週間に拡張されるなど、選手の負担増に拍車がかかっている。四大大会を含むツアー公式戦に加え、デビスカップ(男子国別対抗戦)やユナイテッド・カップ(男女混合国別対抗戦)といった団体戦などにも出場した場合、休養期間はさらに短くなる可能性がある。

 そうした現状を受け、タイリー氏は“競技の意思決定者”の1人として、正当なオフシーズンの実現に向けた責任を担う並々ならぬ覚悟を見せている。加えて同氏は現在のツアー構造の不明瞭さにも触れ、年間を通じた“ストーリー性の明確化”がテニスの発展につながるとの認識を示した。
 
「テニスが真にグローバルなスポーツであるためには、商業的な観点と選手の視点の両面から“物語”を構築する必要がある。最高峰の四大大会であれば、いつ行なわれるかは誰もが知っているだろうが、その合間に何が起きているのか、選手がどの大会でプレーしているのかを世界中の一般の人々が理解するのは、現状では難しいだろう。若い選手がどうすれば成功できるのか、オフシーズンはあるのかといった点も含めて理解しやすい構造にできれば、テニスはより魅力的なスポーツになるはずだ」

 そして最後に改めてこう強調した。

「私はそれらの問題から逃げるつもりはない。変革のために声を上げ続けるし、その中心に立つこともいとわない。“大きな一手”を打つ覚悟はできている」

 ツアー改革はこれまでも繰り返し議論されてきたが、利害関係の複雑さから抜本的な変化には至ってこなかった。だからこそ、“大きな一手”を掲げるタイリー氏の挑戦は、テニス界の重要な転機となる可能性を秘めている。

文●中村光佑

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