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海外テニス

【伊達公子】ファンはシーズン終盤の見方を変えよう。選手は身体と相談して戦略を練る<SMASH>

伊達公子

2026.09.11

大会期間の拡大で「ケガのリスクが高まって当然」と言う伊達公子さん。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

大会期間の拡大で「ケガのリスクが高まって当然」と言う伊達公子さん。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 テニス界はシーズン終盤になると、ツアーから離脱したり、大会を棄権する選手が増えてきます。近年、グランドスラムに次ぐグレードの大会であるATP・WTA1000の大会の多くが、56ドロー・8日間から96ドロー・12日間に拡大しており、賞金も増額されました。しかし、選手からはこの期間拡大が棄権する選手が多い要因だとの声が挙がっている状態です。

 ビジネス的な側面から見れば、総収入が上がり賞金が高くなっているからスケジュールも拡大されていくわけです。選手側の理想は、スケジュールの拡大がなく、大会収入に対する賞金に割り当てられる分配が上がることでしょう。しかし、現実は理想通りにはいっていません。

 ドロー数が拡大されると、優勝までに必要な試合数が増え、より多くの時間を大会会場で過ごすことになります。また、現代のテニスは、以前と比較してスピードも技術も大きく変わり、1試合にかかる選手の負荷が増大しています。これでは、ケガのリスクが高まって当然です。

 この状況でどう戦うか。答えは順応するのみです。選手会が働きかけても、すぐには変わりません。だからこそ、各選手が自分たちの身体と向き合いながら、戦略を練らなければならないのです。
 
 シード選手にとって、この変化は大きな問題です。出場義務がある大会ですが、身体のことを優先して、罰金を払ってでも棄権する選手が出てきてもおかしくありません。

 一方、ランキング50位以下の選手たちにとっては、ドロー数の拡大は新たなチャンスとなります。これまで予選出場だった選手が本戦にエントリーでき、上位シードと対戦する機会が増え、勝てればポイントも賞金も今までよりも格段に上がるわけです。

 実は1回戦がBYEになるトップシードの選手にとって、2回戦ですでに1試合に勝ってきた選手と対戦するのは、かなり大変なのです。特にシーズン終盤の体力も精神力も低下している時は、粘れないこともあります。つまり、下位選手にとっては、飛躍できるチャンスなのです。

 ここで重要なのは、見方を変えることです。シーズン終盤だからといって、全員が疲弊しているわけではありません。春先や夏場に試合数が少なかった選手、ケガでツアーを離れていた選手にとっては、シーズン終盤でもまだ身体が新鮮な状態です。そうした選手たちは、シーズンインのような気持ちで臨むことができ、大物食いにもつながりやすいのです。

 見る側はトップ選手ばかりを期待するのではなく、大物食いをしそうな選手や状態の良い選手の活躍を見られる機会だと考えましょう。選手のバックグラウンドを知り、年間の試合数や出場状況、ケガなどのコンディションを理解することで、試合の見方が変わってきます。大事なのは、点で見るのではなく、線で見ることです。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

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