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海外テニス

「あれより酷くはなりようがない」開き直った大坂なおみが盤石の2回戦突破!次戦は注目の15歳、ココ・ガウフが相手に

内田暁

2019.08.30

1時間11分で3回戦へ進出した大坂なおみ。写真:山崎賢人(スマッシュ写真部)

1時間11分で3回戦へ進出した大坂なおみ。写真:山崎賢人(スマッシュ写真部)

全米女子シングルス2回戦/8月29日(現地時間)
大坂なおみ(JPN)6-2 6-4 M・リネッテ(POL)

 Back in business……とでも形容したくなる、盤石の勝利だった。

 前年優勝者として迎える今大会の初戦では、未だかつてない緊張に襲われた。その試合を薄氷を踏む勝利で切り抜けたからこそ、彼女は「あれより酷くはなりようがない」と、2回戦では落ち着いた精神状態でコートに立っていたという。

 初戦で見られた、強打がネットの真ん中あたりを叩くようなミスは、ほとんどない。質の高いショットでラリーを数回繰り返せば、自然と主導権は大坂の手中に収まった。第3ゲーム終了時、大坂のファミリーボックスにNBAのレジェンドプレーヤー、コービー・ブライアントらが現れ会場が騒然とするなか、大坂が5ゲーム連取で第1セットを奪取した。


 第2セットは相手にブレークで先行されるも、女王は冷静だ。「チャンスボールを漫然と打ち返している。もっと攻撃的にいかなくては」と自分に言い聞かせ、即座に逆転に成功。「コービーたちを長時間、直射日光が当たる席に座らせるわけにはいかないと思って」とジョーク交じりに振り返る、1時間11分のスピード決着だった。
 コート内外でも女王の威光を示し、3回戦に進んだ大坂の次の対戦相手は、今大会の最注目選手の一人である、15歳のココ・ガウフ。その対戦が決まるより先にココ・ガウフについて問われた大坂は、15歳の少女に対し抱くシンパシーを口にしていた。

「ここ最近、彼女に話しかけるように努力してきたの。なぜって、彼女はどこか私に似ている気がしたから。ロッカールームでヘッドフォンをつけ、誰とも話していないガウフを見た時、『あ、私みたい』と感じたの」

 周囲から向けられる好気と警戒の目から逃れるように、外界を遮断しガードを固めるその姿に、大坂は、かつての自分を重ねていたのだろう。

「私はジュニアの大会に出ていなかったけれど、それでも想像はつく。ジュニアでは友人たちと同じ大会に出ていたのに、ここに来た瞬間、誰も話せる相手がいない状況になることは。だから彼女には、少しでも自分の殻から出て、周りと打ち解けてほしいと思ったの。そしてそれは、私の周囲の人たちが、私に対して思っていることだとも感じた」

 対するガウフも大坂について、「私も、彼女と自分は似たところがあると感じた」と言う。

「父親同士が知っていたので、3年前に初めて、マイアミ・オープンで練習をさせてもらった。とても良い人で、彼女について悪くいうことなど何ひとつない」

 両者の間に何かしら通底するものを感じているのは、ガウフも同じだったのだろう。「彼女が成し遂げていることはすごいし、私もいつか、あのレベルに行きたい」と、15歳のライジングスターは未来の自分を大坂に重ねた。

 大坂はセレナ、そしてガウフはビーナスと、いずれもウィリアムズ姉妹を最大のアイドルとして、夢を追ったキャリアの始点も共有する。

 2人の試合は、土曜日のアーサー・アッシュ・スタジアムの、ナイトセッションに組まれた。互いに共感を覚える若きスターの足跡の交錯は、間違いなく今大会最注目の一戦となる。

取材・文●内田暁
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