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海外テニス

パワーテニスに脚力と戦術で対抗したアランチャ・サンチェス。フォアのランニングショットは絶品!【レジェンドFILE16】

スマッシュ編集部

2020.05.03

サンチェスは驚異的なコートカバーで、相手のエース級の強打をことごとく返球した。写真:スマッシュ写真部

サンチェスは驚異的なコートカバーで、相手のエース級の強打をことごとく返球した。写真:スマッシュ写真部

 80年代末から90年代の女子テニス界は、様々な個性がぶつかり合い、輝きを放った時代だ。ステフィ・グラフとモニカ・セレスが強打でしのぎを削り、ガブリエラ・サバチーニが華麗なバックハンドで優位を築けば、アランチャ・サンチェス-ビカリオは卓越したフットワークと戦術、そしてガッツで渡り合った。

 同じ時代、そのサンチェスとライバル関係にあったのが伊達公子。伊達はライジングショットという武器でグラフと死闘を繰り広げ、比較的実力が近いサンチェスとの試合は常にロングゲームになった。また、サンチェスの母国にはコンチータ・マルチネスという強力な同胞もいて、2人を擁したスペインはフェドカップで3連覇も達成している。

 サンチェスはクレーコート育ちのスペイン選手らしく、精度と安定性抜群のトップスピンを武器にし、どんなに振られても諦めずにボールに食らいつくテニスを身上としていた。このランニングフォアハンドの連続写真はそんなサンチェスの姿勢を象徴している。
 
 何といっても素晴らしいのは、これだけ走らされてもバランスが全く乱れていないこと。スイング中(5~7コマ目)、ずっと頭が倒れず、上体も傾くことがない。つまり軸が真っすぐだから、腕の振りも正確に行なえるわけだ。全てのプレーヤーが見習うべき基本である。

 この写真はトップスピンだが、一方でサンチェスは、スライドフットワークによるフォアハンドスライスを最初に有効利用した女子選手の1人でもある。守備にそれを導入したことでコートカバーはさらに広くなり、トップスピンとの相乗効果で相手のリズムを崩すことにも成功した。パワーテニスが全盛となる中で、一味違った魅力を持った選手だった。

【プロフィール】アランチャ・サンチェス-ビカリオ/Arantxa Sanchez-Vicario(ESP)
1971年生まれ。WTAランキング最高位1位(95年2月)。グラドスラム通算4勝(RG:89・94・98年、US:94年)。強靭なフットワークを持ち味にしたベースラインプレーヤーで、クレーコートを最も得意とする。兄、姉もプロ選手というテニス一家に育ち、89年全仏を17歳5カ月で制覇。決勝では当時GS5連勝中だったグラフを破る大金星を挙げた。94年からキャリアの黄金期に入り、同年の全仏と全米で優勝。95年にはグラフと月替わりでNo.1を奪い合った。

編集協力●井山夏生 構成●スマッシュ編集部

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