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ナダルの強靭なメンタルは生まれつき?叔父で元コーチのトニ氏曰く「思春期の反抗期すらなかった」

Hustle

2020.07.28

長らくナダル(左)の活躍を支えた叔父のトニ氏(右)。(C)GettyImages

 テニス選手が怒りにまかせてラケットを破壊―――。そんなシーンを目にしたことがあるテニスファンは多いはずだ。もちろん、物に当たるなんていうことは褒められたものではない。しかし、コートにひとり身を置く孤独な環境で、コーチやチームに頼ることもできないとなれば、つい感情が爆発してしまうこともあるだろう。

 ほぼ全てのトッププレーヤーがそういった経験をしてきたと思うが、そんな中での稀有な存在が、19度のグランドスラムタイトルを持つラファエル・ナダルだ。

 赤土の申し子とも称されるナダルを、幼少期からコーチとして支えた叔父のトニ・ナダル氏によれば、彼は子どもの頃から、物に当たるようなことをしなかったそうだ。「ラケットを折ったこともなく、思春期には反抗期を迎えることすらなかったよ」と、『ESPN』のインタビューで語った。
 
 テニスの神様ことロジャー・フェデラーでさえ、若い頃は怒りっぽく、メンタルの弱さが目立っていた。ナダルがどのような指導を受けてきたのか気になるところだが、トニ氏は「彼は普通の教育を受けた、普通の子どもだった。同じように育った子はたくさんいるはずだよ。なにか特別なことをしたわけじゃない」と明かす。

 しかし、プロテニス界ではラケットを折ったことがない人はほとんどいない。彼らが教育を受けていないとは言えないが、気持ちのコントロールを失う瞬間があったのは確かだ。精神的にタフでいるためには、どんな難しい状況にも備えておく必要がある。「想定されるより、さらに厳しい状況に備えておくべきだ。そうでなければ、もしその状況に陥ったときに正しい判断ができない」とトニ氏は言う。

 パワー、スタミナ、スピンショットなど、ナダルの強みはたくさんある。だが、それらの強みは全て、その強靭なメンタルがあってこそのものだ。現在、ツアー再開に向けてトレーニングに励むナダル。全米オープンまでのハードコート期間はスキップすると思われるが、その後のクレーコート大会には参加するつもりのようだ。あと1カ月半もすれば、赤土で燃え上がるクレーキングの姿が再び見られるだろう。

文●Hustle

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