海外テニス

職業としてのテニスコーチのステータスが上がる? ITFがテニスコーチ認定プログラムを開始

東真奈美

2020.08.16

質の高いコーチが多くいれば、テニス人口は増える可能性がある。※写真は内容と関係ありません。写真:スマッシュ編集部

 ITF(国際テニス連盟)は公式サイトにて、テニスコーチの人数を増やすことを目指し、テニスコーチ認定プログラム開始することを発表した。

 20年以上前から、ITFはテニスコーチのトレーニングや育成プログラムを提供してきたが、認定に関しては、各国のテニス協会が行なっていた。2020年8月10日から、ITF認定コースを修了したコーチは、それぞれの国の協会で取得した認定資格に加え、"ITF認定コーチ"と名乗ることができる。

 このコーチ認定プログラムのメリットは、自国での認定システムがまだ確立されていない国でも取得が可能になること。コーチのレベルに国際的な最低基準を設定し、指導プログラムを整えることにより、各国の認定プログラムを補完すること。また、女性がコーチとして成長し資格を得る機会を増やすことも重要な目標の1つである。
 
 ITFテニス開発担当のエグゼクティブ・ディレクター、ルカ・サンティリは「質の高いコーチングは、テニス人口を増やし、選手を育成する上で、非常に重要な要素であることが証明されています。世界中のコーチングの基準を向上させるために、ITFコーチ認定プログラムを開始できることをうれしく思います」と語った。

 2019年に発表された『ITFグローバルテニスレポート』で、全世界で現役テニスコーチが約16万4000人いる一方、90%以上がわずか30カ国に拠点を置いていることが明らかになった。そのうち65%はヨーロッパである。

 2020年8月現在、約40カ国がコーチ教育システムのITF認定を受けているが、その中に日本は入っていない。日本には一般プレーヤーに向けて丁寧に教えることができるコーチ、意欲のあるコーチが大勢いるが、その指導内容が世界基準を満たしているのかは、現状ではわからないということだ。

 また、日本でテニスコーチが職業として魅力的だと思われているかと言えば、不安定要素が多いということで難しいところ。国際的に認定されることで、テニスコーチの社会的地位が上がれば、日本でもコーチ希望者が増える可能性もある。この認定プログラムがきっかけとなり、コーチの人数増加、質と地位の向上へとつながってほしい。

文●東真奈美

【PHOTO】コーチとともに練習に励む選手たち