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「彼のおかげで今の僕がある」ワウリンカを“崇拝”するドイツの新星・アルトマイヤーが全仏オープンで快進撃

Hustle

2020.10.05

プレーや仕草の節々から、ワウリンカ(右)へのリスペクトが感じられるアルトマイヤー(左)。(C)Getty Images

 世界ランキング186位のダニエル・アルトマイヤー(ドイツ)という選手をご存じだろうか。これまで下部大会を主戦場として戦ってきた彼は、まだ22歳と若い選手。1年半ほど前には600位台にいたが、9月にはキャリアハイの183位を記録するなど上り調子だ。

 そして現在開催中の全仏オープンでは、初戦で世界ランク57位のフェリシアーノ・ロペス(スペイン)、2回戦で同32位のヤン-レナード・ストルフ(ドイツ)、3日の3回戦では同8位のマテオ・ベレッティーニ(イタリア)と、格上選手を次々と、しかも全てストレートで下しての快進撃を続けている。

 今大注目のアルトマイヤーだが、彼のプレーや仕草を見ていると、とある選手との共通点が数多く見つかるだろう。ラケット含め全身ヨネックスで、鋭く振り抜く片手バックハンド。グリップは途中からリプレイスメントグリップ(元グリップ)がむき出しで、勝利を決めれば人差し指をこめかみに当てるポーズ。そう、"スタン・ザ・マン"ことスタン・ワウリンカ(スイス)である。

 海外メディア『スカイスポーツ』によると、これは、アルトマイヤーが長年ワウリンカへの強い憧れを抱き続けてきたがためだという。

「僕にとってのアイドルは、もうずいぶん前からスタン・ワウリンカだよ」と明かすアルトマイヤーは、上記以外にも彼を真似ている部分があるようで、それは「Allez!(行くぞ!)」というワウリンカの口癖だそう。
 
「僕が彼(のプレー)を見ている時、彼はいつも『Allez、スタン』と言ってるんだ。だから僕も『Allez、ダン(ダニエル)』と言うようにしているよ」と、スタン愛を語るアルトマイヤーは、続けて、「彼のプレーに憧れているし、とても感謝している。彼のおかげで今の僕があるんだ」と、ワウリンカへの謝意を示した。

 高いポテンシャルを持ちながら、昨年は大きくランキングを落とし、再びテニスコートに立てるのかもわからない時期があったようだ。それは、慢性的な腹痛と肩のケガによるもので、リハビリには長い時間を要したという。

 特に、新型コロナウイルス感染拡大による隔離期間中は、アルゼンチン出身のコーチであるフランシスコ・ユニス氏の指導の下で、フィジカルの向上と「より安定した身体構造の構築」のために時間を費やした。アルトマイヤーは「彼が僕のゲームを安定させてくれた」と、この努力が実を結んだことを明かしている。

 今回の勝ち上がりで、少なくとも22万1400ドル(約2300万円)の賞金を獲得する予定の彼は、これまでの生涯収入を500万円近く上回る収入を得ることになる。これは間違いなく、彼の今後のキャリアを大きく左右する出来事になるだろう。

 4回戦では、第17シードのパブロ・カレノブスタ(スペイン)と対戦する。華やかなグランドスラムデビューを果たした彼が、いったいどこまで躍進を続けるのか。注目が集まる。

文●Hustle

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