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男子テニス世界3位のD・ティームが放つ“下半身のパワーをフル活用した強烈サービス”とは…【写真で学ぶプロのスゴわざ】

スマッシュ編集部

2020.11.21

ティームが放つサービスの写真からは、一般にも役立つポイント(上段左から3枚目)や、プロならではのすごさ(同4枚目)がわかる。写真:THE DIGEST写真部

 高速カメラを用いてトッププロのサービスを徹底分析し、一般プレーヤーが参考にしたい動きを「マネわざ」、その選手ならではの特別な動きを「スゴわざ」と題してご紹介するシリーズ。その第2回は、2020年の"全米王者"ドミニク・ティームだ。技術解説は、元デ杯日本代表選手で現在盛田正明テニスファンドのスタッフとしてジュニアをサポートする丸山薫氏(JTA公認S級エリートコーチ)にお願いした。

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 今年の全米オープンを制して、現在開催中のATPファイナルズでも存在感を放つティームは、世界1位になり得る選手だ。ストロークの威力や1年を通じて攻撃的なプレーを持続できるスタミナ。また身体を激しく使う割にはケガが少ないこと。そして、『ナンバーワンになる』という意志をライバルたちよりも強く感じさせる。さらにクレーコートを得意にするが、最近はハードコートでも積極的なテニスを実践して結果を出せている。

 そんなティームのサービスで印象的なのは下半身の使い方だ。彼は下半身から上半身に向けてパワーを伝えやすいプラットフォーム・スタンス(右足を引き寄せない動き)を用いている。両ヒザを深く曲げたトロフィーポーズから、足裏を地面にたたきつけてパワーを上方へ素早く伝え、ボールに強烈なスピンをかける。しかも、決して楽ではない両ヒザの深い曲げを、1試合を通して維持できるところがティームならではだ。
 
 では、ティームの「スゴわざ」と「マネわざ」を見ていこう。

◆プロならではの「スゴわざ」
 底なしのスタミナと共に身体の強じんさもティームの武器の一つ。それが一番よく出ているのがトロフィーポーズ。両ヒザが深く曲げられているが、彼の場合は5セットのロングマッチに突入しても、最後までこの深いヒザの曲げを維持できる。

◆一般に役立つ「マネわざ」
 サービスの成功率を上げるにはトスアップの安定が必須。これはトッププロも一般プレーヤーも変わらない。ティームのように肩を支点にして左腕を真っすぐ伸ばしてボールを上げよう。リリースポイントは目の高さ付近。また、ボールを持つ時は親指・人差し指・中指を中心に優しく支える程度でいい。強く持つとボールがバラバラな方向に飛んでしまうからだ。

【選手プロフィール】
ドミニク・ティーム(Dominic Thiem)
1993 年9月3日生まれ(27 歳)。オーストリア出身。2011 年プロ転向。身長185cm。右利き。バックハンドは片手。ツアー通算17 勝のうち10 大会がクレーだが、2019年から20年の6勝のうち4勝はハードで挙げた。グランドスラム成績:2020年全米優勝。20年全豪準優勝。18・19 年全仏準優勝。世界ランキング3位(2020 年11月16日付)

構成●スマッシュ編集部

【PHOTO】強じんな下半身でパワーを生み出す、D・ティームのサービス連続写真