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海外テニス

「同意していない」全豪オープン出場選手の隔離に利用されるホテルのオーナー側が不快感をあらわに

中村光佑

2021.01.05

昨年大会は、大規模な森林火災の影響を受けた全豪オープン。今年の開催も一筋縄ではいかないようだ。(C)Getty Images

昨年大会は、大規模な森林火災の影響を受けた全豪オープン。今年の開催も一筋縄ではいかないようだ。(C)Getty Images

 テニス系海外メディアの『UBITENNIS』によると、「全豪オープン」(オーストラリア/メルボルン/グランドスラム)の隔離期間に使用されるホテルの、最上階マンションの所有者が、新型コロナウイルスの感染拡大を懸念した上で、選手受け入れの差し止めを要求する法的措置を検討しているという。

 大会の開催に際して、1月14日から約2週間にわたる隔離期間で選手たちが滞在を予定している「ウェスティン・メルボルン」のマンション所有者は、同ホテルへの選手受け入れ計画について「そもそも十分な情報が与えられていなかった。世界中からテニス選手たちが流入することは、住民やより広い地域に大きな健康リスクをもたらすだろう」と主張している。

 また、オーナーの1人、ディグビー・ルイス氏は豪メディアの『Fairfax』のインタビューで、「84歳の私はコロナウイルスに感染する可能性が高い。彼ら(政府や大会主催側)が私たちと相談しようともせずに計画を強行しようとしたことにショックを受けている」とコメント。さらに、「私は法的措置の要求に向けて1万ドル(約80万円)か2万ドル(約160万円)を投入してもいいと思っている」と対決の姿勢を示している。
 
 ビクトリア州政府によると12月18日に検疫計画を正式に承認し、マンションの所有者に対して同月23日にメールで最終通知を行ったという。同州の臨時首相を務めるジャシンタ・アラン氏は、「このホテル(ウェスティン・メルボルン)が国際的なアスリートをホストすることが承認される前に、『厳格な評価』が行われた。ホテルを含め妥協のない感染防止対策がすべての会場で行われる」と安全性を強調した。

 一方でマンション側は「条件に同意したことはない」とした上で、「まるで取引が完了したかのような姿勢を見せているのは信じられないほど傲慢なやり方だと思う。実質的な公衆衛生や法律上の問題があるが、調査すらされていない」と不快感をあらわにした。

 新型コロナウイルスの拡大により、2月8日に開幕することが決まった今年度の全豪オープン。だが仮に法的措置が行われれば、開催にも暗雲が立ち込める可能性が高い。いずれにしても大会が無事に開かれることを祈るばかりだ。

文●中村光佑

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