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「クレーと芝の両方で勝てるわ」大坂なおみの“生涯GS”にナブラチロワが私見「より本能的にプレーできれば…」

THE DIGEST編集部

2021.03.19

ハードコート以外のグランドスラムではまだ16強入りを果たしていない大坂。(C)Getty Images

 先の全豪オープンで4度目のグランドスラムタイトルを獲得した女子テニスの大坂なおみ。昨年の8月からは21連勝と圧倒的な強さを誇示しているが、そんな彼女にもまだ大きな課題がある。

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 それは芝とクレーコートでの"苦手克服"だ。これまで両サーフェスともにまだツアーの決勝に進んだことがなく、全仏オープン、ウィンブルドンはともに3回戦進出が最高成績。さらに16強入りをかけた3回戦では5連敗を喫しており、トップ20の選手に対しては0勝4敗と勝ち星を挙げたことがない。

 自身も次の目標として掲げる生涯グランドスラムだが、これはファンからの期待だけでなく、元世界女王も注目しているようだ。「間違いなく可能性がある」との見解を示したのは、マルチナ・ナブラチロワさん。ウィンブルドンで通算9勝と圧倒的な強さを誇り、ツアー通算優勝数も「167」と史上最多記録を誇る女子テニス界のレジェンドだ。

 米テニスメディア『Tennis Now』のリモートで取材を受けたナブラチロワさんは、「可能性がある」理由のひとつとして「サーフェスは以前と比べてあまり差がなくなってきていること」を挙げている。「芝は遅く、クレーは速くなっている。以前のように調整する必要はほとんどなくなった」というのだ。
 
 大坂のフットワークスキルについては「自信を持ってスライドをしているようには見えない」と指摘するが、それでも優勝の可能性はあるという。男子で生涯グランドスラムを達成したアンドレ・アガシを例に挙げ、「彼はスライドしないで全仏を制したのよ。可能だわ。ただ、スライドをしてストロークのタイミングを取れれば、ゆとりが持てるけどね」とコメントした。

 さらに、ナブラチロワさんは「(大阪が)クレーと芝の両方で勝てるゲーム力を持っていることは間違いない」と強調する。クレーコートの戦い方は「まだ引き金の引き方を学んでいる最中だと思う」と評した一方、芝では「圧倒的な強さを発揮できない理由はない」と断言。「彼女のビッグショットは、今年のオーストラリアのような高速コートを除けば、他のサーフェスより芝の方が効果的」と分析している。

 今後に向けては「ただ時間をかけて、より本能的にプレーできるようになればいいと思うわ」とアドバイスを送ったナブラチロワさん。大坂は今月23日からマイアミ・オープンへの出場を予定している。東京五輪も控える今シーズン、さらなる活躍を見せることができるのか。そのパフォーマンスに注目だ。

構成●THE DIGEST編集部