男子テニスツアー「マドリード・オープン」(5月2日~9日/スペイン:マドリード/クレーコート/ATP1000)に出場する世界4位のドミニク・ティーム(オーストリア)が、度重なる不適切な行動で物議を醸しているブノワ・ペール(フランス)を痛烈に批判した。
今季はこれまでの戦績が10戦1勝9敗と凄惨なものとなっているペール。以前から素行が問題視されていたが、最近は特に暴走気味で、初戦敗退となった3月のアルゼンチン・オープンではコート上に唾を吐き、相手のマッチポイントで投げやりな無気力サービスを2本続けて自滅するなど、数々の問題行動を起こしていた。
ペールはその背景として、新型コロナウイルスの感染拡大による大会の無観客開催や、外出を許されないことなど、選手へ課される厳しい制限が大きなストレスとなっていることを上げている。
以前にもテニスツアーの現状を「悲しく、退屈で、馬鹿げたものだ」と嘆いていたペールは、4月初めのモンテカルロ・オープンで1回戦敗退を喫した直後にも「ツアーは腐ってしまった。勝っても負けてもどうでもいいんだ」などと言い放ち、テニスに対する熱意を完全に失っていた。
その後、一連の問題行動を受け、FFT(フランステニス連盟)が4月下旬に調査を実施。「不適切でスポーツマンシップに反する」ことを理由に、ペールを東京オリンピックの選考対象から外すことを決定したほどだ。
ティーム自身もコロナ禍でのツアー転戦に悩みを抱え、今年3月のドバイ選手権以来大会には出場していなかった。会見では「今の状況は簡単なことではない。これまでは観客の前でプレーしたり、国と国を自由に行き来したりすることに慣れていたから、誰にとっても難しいことだ」と語り、ペールの心情に一部理解を示した。
だが一方で、「僕は彼の言動が理解できない。プレーしたくなければ、ステイホームをしていればいい。モチベーションが上がらないなら、誰も彼にプレーすることを強制はしない」とペールを厳しく批判。最後にも「軌道に乗ることができれば、たとえ100%の状態でなくても、試合に出ることはできるはずだ」と強い口調でコメントを残した。
ティームの発言を受け、ペールは現地5月3日に自身のツイッターを更新。「またコートに戻ってきてくれて嬉しいよ」とティームのツアー復帰を祝福した上で、「誰もが違うことを考え、行動する権利がある。あなたが言ったことは何も問題ない」と綴っており、特に気にも留めていない様子だ。
ペールのスポーツマンシップに欠けた言動は到底擁護できるものではないだろう。だが、新型コロナの感染拡大がテニス界にも非常に大きな影響を及ぼしていることは疑いようがない。まずは一刻も早く以前のような平穏な日常が戻ってくることを祈るばかりだ。
文●中村光佑
【PHOTO】攻守一体のプレーが魅力!逆転勝利でグランドスラム初優勝を果たしたドミニク・ティーム!
今季はこれまでの戦績が10戦1勝9敗と凄惨なものとなっているペール。以前から素行が問題視されていたが、最近は特に暴走気味で、初戦敗退となった3月のアルゼンチン・オープンではコート上に唾を吐き、相手のマッチポイントで投げやりな無気力サービスを2本続けて自滅するなど、数々の問題行動を起こしていた。
ペールはその背景として、新型コロナウイルスの感染拡大による大会の無観客開催や、外出を許されないことなど、選手へ課される厳しい制限が大きなストレスとなっていることを上げている。
以前にもテニスツアーの現状を「悲しく、退屈で、馬鹿げたものだ」と嘆いていたペールは、4月初めのモンテカルロ・オープンで1回戦敗退を喫した直後にも「ツアーは腐ってしまった。勝っても負けてもどうでもいいんだ」などと言い放ち、テニスに対する熱意を完全に失っていた。
その後、一連の問題行動を受け、FFT(フランステニス連盟)が4月下旬に調査を実施。「不適切でスポーツマンシップに反する」ことを理由に、ペールを東京オリンピックの選考対象から外すことを決定したほどだ。
ティーム自身もコロナ禍でのツアー転戦に悩みを抱え、今年3月のドバイ選手権以来大会には出場していなかった。会見では「今の状況は簡単なことではない。これまでは観客の前でプレーしたり、国と国を自由に行き来したりすることに慣れていたから、誰にとっても難しいことだ」と語り、ペールの心情に一部理解を示した。
だが一方で、「僕は彼の言動が理解できない。プレーしたくなければ、ステイホームをしていればいい。モチベーションが上がらないなら、誰も彼にプレーすることを強制はしない」とペールを厳しく批判。最後にも「軌道に乗ることができれば、たとえ100%の状態でなくても、試合に出ることはできるはずだ」と強い口調でコメントを残した。
ティームの発言を受け、ペールは現地5月3日に自身のツイッターを更新。「またコートに戻ってきてくれて嬉しいよ」とティームのツアー復帰を祝福した上で、「誰もが違うことを考え、行動する権利がある。あなたが言ったことは何も問題ない」と綴っており、特に気にも留めていない様子だ。
ペールのスポーツマンシップに欠けた言動は到底擁護できるものではないだろう。だが、新型コロナの感染拡大がテニス界にも非常に大きな影響を及ぼしていることは疑いようがない。まずは一刻も早く以前のような平穏な日常が戻ってくることを祈るばかりだ。
文●中村光佑
【PHOTO】攻守一体のプレーが魅力!逆転勝利でグランドスラム初優勝を果たしたドミニク・ティーム!