海外テニス

「もし無観客となれば…」全仏での打倒ナダルに自信のジョコビッチ、東京五輪参加についても言及<SMASH>

中村光佑

2021.05.30

ジョコビッチはベオグラード・オープンで優勝し、全仏に向けて弾みをつけた。(C)Getty Images

 現地5月29日、男子テニスツアー「ベオグラード・オープン」(5月23日~29日/セルビア:ベオグラード/クレーコート/ATP250)はシングルス決勝を実施。第1シードで世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)が同255位のアレックス・モルカン(スロバキア)を6-4、6-3で下し、今季ツアー2勝目を飾った。

 クレーシーズンの集大成である「全仏オープン」(5月30日~6月13日/フランス・パリ/クレー/グランドスラム)の開幕を間近に控えるなか、母国開催となった大会を最高の形で締めくくったジョコビッチ。

 試合直後に行なわれたインタビューでは「この大会で優勝できたことは、僕にとって自信になった。今週のプレーには満足しているし、全仏に行く前に、母国のスタンドからのサポートと愛情を感じられたことは、僕にとって最高の出来事だった」と喜びを語った。

 今回の優勝でジョコビッチが全仏へ大きく弾みをつけたことは間違いないだろう。だが、同大会の優勝を狙う上で大きな壁として立ちはだかるのが「クレーキング」の異名を持つラファエル・ナダル(スペイン/3位)の存在だ。ナダルは全仏の舞台で13度の優勝と驚異的な強さを発揮しており、通算成績でも100勝2敗というとてつもない記録を残している。

 ジョコビッチは、5月中旬に行なわれたイタリア国際の決勝でナダルと対戦し、惜しくもフルセットの接戦の末に敗れたが、「ローマでの大会以降、とても良いボールが打てるようになったと感じている。ローマの決勝を戦い、ナダルを倒すことができると確信した。ローランギャロス(全仏)で彼に勝つという、テニス界でも最大の偉業にチャレンジできるチャンスがあるんだ」と自信をのぞかせた。
 
 なお、全仏オープン終了後に発表される世界ランキングにより、今年7月の東京五輪におけるテニス競技の出場権を得る上位56人が確定する。そんななか、日本国内では新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、今年3月には大会組織委員会や政府が東京五輪で国外からの観客を受け入れないと決定。また、今後の情勢次第では全競技が無観客で行なわれる可能性も高い。

 以前から東京五輪の出場には意欲を示していたジョコビッチだが、ベオグラード大会の準々決勝直後の記者会見では「もし無観客となれば、参加することを考え直すだろう」とコメント。一方で「観客の入場が許可されている限りはオリンピックでプレーするつもりだ」と改めて出場へ前向きな姿勢も示した。

 だが、現時点ではナダルとの対戦へ向け、全仏オープンで一つでも多く勝ち上がることが最優先となるだろう。ジョコビッチがローランギャロスの地でナダルの牙城を崩すことができるのか注目だ。

文●中村光佑

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【動画】ジョコビッチが優勝したベオグラード・オープン決勝のハイライト