海外テニス

“ワクチン接種義務化”で揺れる全豪オープンに仏選手が「プレーしない選手がいるなら、俺にとって好都合だ」と自論<SMASH>

中村光佑

2021.11.03

すでにワクチン接種済みのペール(写真)にとって、全豪出場資格を巡る今回の問題は痛くもかゆくもないようだ。(C)Getty Images

 来年1月に開催される年内最初のグランドスラムである全豪オープン。開催地となるビクトリア州では新型コロナウイルス感染拡大防止を目的として出場する全選手に2度のワクチン接種を義務付ける方向に動いている。ところがここにきて「ワクチン未接種者でも隔離期間を経れば大会出場可能」とする内部文書が漏洩するなど情報が錯そうしている状態だ。

 いずれにしてもワクチン接種を終えていない選手が不利な扱いを受ける可能性は高く、先日にはビクトリア州のダン・アンドリュース首相も「ビクトリア州がワクチンを接種していない選手に接種義務の免除に向けて働きかけることはない」と明言。他競技と比べてワクチン接種率が低いとされるテニス選手も全豪参戦を見据えて動き出している。

 そんななか、現在開催中の男子テニスツアー「ロレックス・パリ・マスターズ」(11月1日~7日/フランス・パリ/インドアハード/ATP1000)の1回戦で敗退した地元勢のブノワ・ペール(フランス)が、試合終了後の記者会見で全豪出場をめぐる一連のワクチン問題に言及。そのなかで「俺は来年の素晴らしいシーズンに向けてモチベーションを高めている」としたうえで、「ワクチンを打つことに消極的な人がいるとしたら、ヨーロッパに留まっておくべきだ」と主張した。
 
 続けてペールは「他の選手のことは気にしていない。ワクチンを接種せずに全豪でプレーしない選手がいるなら、それは俺にとって好都合だ」と強調。「(ワクチン接種を義務化しようが)特に問題はない」と続け、こう本音を漏らした。

「オーストラリアに行くには予防接種を受けなければならないけど、俺はもう予防接種を受けているし、そこでプレーすることも楽しみにしている。ワクチンを接種していれば、メルボルンではもう隔離されることはないからね」

 大会が開催される国や地域によって出場条件が変わるのは仕方ないが、仮に事前の予防接種が必須となればワクチンの安全性を懸念する選手にとっては非常に頭の痛い問題である。開幕まで残り約2か月、どのような最終決定が下されるのか注目したいところだ。

文●中村光佑

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