海外テニス

「四大大会で20回優勝はできないかもしれないけど」次期No.1候補メドベージェフが予想するビッグ3後のテニス界<SMASH>

中村光佑

2021.11.24

偉大なプレーヤーが引退しても、それに代わるヒーローが出現するというのが、メドベージェフの考えだ。(C)Getty Images

 現地11月21日に行なわれた男子テニスツアー最終戦「Nitto ATPファイナルズ」シングルス決勝でアレクサンダー・ズべレフ(ドイツ/世界ランク3位)に敗れ、ダニール・メドベージェフ(ロシア/2位)は準優勝で今シーズンを締めくくった。

 そんなロシアの俊英が、試合後の記者会見で「ビッグ3(フェデラー、ナダル、ジョコビッチ)のいないテニス界の未来」について言及した。

 ここ数年はメドベージェフやズベレフをはじめとした有望な若手が台頭している男子テニス界。今季は9月の全米オープンでメドベージェフがジョコビッチから衝撃のストレート勝利を収めて、グランドスラム初優勝を達成。四大大会に次ぐマスターズでも、開催された全8大会のうち7大会で次世代のプレーヤーがチャンピオンとなり、世代交代が着実に進んでいるのは間違いない。

 そんななかでも6月の全仏オープンでは35歳のナダルがベスト4、7月のウインブルドンでは40歳のフェデラーがベスト8へ進出し、34歳のジョコビッチに至っては全豪・全仏・ウインブルドンを立て続けに制覇(※年齢はいずれも現在)。さらにビッグ3は全員がGS優勝20回で並ぶというとてつもない記録を打ち立てており、いまだ絶大な人気を誇っている。

 現在はフェデラーとナダルが共にケガで長期の戦線離脱を強いられ、ジョコビッチの孤軍奮闘が続いているが、まだまだ「若手がテニス界を席巻している」とは言い難いことも事実だ。
 
 それでも「次世代のナンバー1候補」と称されるメドベージェフは現段階で自分を含めた若手が、数々の輝かしい功績を残してきたビッグ3に引けを取っている状況についても「それを恥じることはない」と断言。その根拠について、ビッグ3の実績に及ばずとも、いつの時代にも後世に語り継がれるプレーヤーが存在していたことを強調しながら説明した。

「ビヨン・ボルグとジョン・マッケンローがいて、彼らがキャリアを終えた時、誰もが『もうテニス界は終わった』と言っていた。でも、ピート・サンプラスやアンドレ・アガシなど、その後もトップになった選手が数人ほどいた。

 サンプラスが引退した時だって人々は『もうテニス界は終わりだ』と言っていたけど、そこにノバク、ロジャー、ラファが登場した。彼らが活躍する前に同じようにテニス界の未来について聞いたら、誰もが『もうテニスは面白くなくなるだろう』と言っていただろうね」

「もちろん、もしかしたら僕たちは四大大会で20回優勝することはできないかもしれない。でもロジャー、ラファ、ノバクの前には誰もそれができなかったわけだから、彼らよりも悪い時代だってあったわけだ。だから四大大会の優勝回数が少なくても絶対に恥ずかしいことではない」

 とはいえビッグ3引退後のテニス界を盛り上げるためには、やはり後を継ぐプレーヤーたちが存在感を示さなければならないだろう。これからもカリスマ性と強さを兼ね備えた選手が続々と出現することを祈りたい。

文●中村光佑

【PHOTO】グランドスラム初Vのメドベージェフら2021全米OPで躍動した男子選手たち
 
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【動画】次世代対決となったズベレフvsメドベージェフのATPファイナルズ決勝ハイライト