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国内テニス

プロ3年目、20歳の野口莉央が初の全日本王者に。3種目決勝の清水悠太は力尽きる

渡辺隆康(スマッシュ編集部)

2019.11.03

男子シングルスを制した野口のプレー(左)と、表彰式での清水&野口(右)。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

男子シングルスを制した野口のプレー(左)と、表彰式での清水&野口(右)。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

「三菱 全日本テニス選手権94th」は11月3日(日)、東京・有明コロシアムで男子シングルス決勝、男女ダブルス決勝が行なわれ、9日間にわたった大会は幕を閉じた。男子シングルスは、第6シードの野口莉央(明治安田生命)が第3シードの清水悠太(三菱電機)を6-3、6-4のストレートで下し、初の天皇杯を手にした。

 身長169センチと小柄で、線も細い野口は、他の若手プレーヤーのように球威で押せるタイプではない。野口に自らが志すプレーを尋ねると、「僕はパワーがないので、動き負けないで、攻める時はしっかりコートの中に入って攻める。相手を動かしながら組み立てていくテニス」。こんな答えが返ってきた。

 今日の決勝は、まさにその言葉をトレースするようなプレーだった。3種目全てで決勝まで勝ち残ってきた清水に、疲労がたまっていたのは事実だ。今年の6月に清水に完敗している野口は、「その時よりも今日は動けていないな」と感じたという。だからこそ「動きで負けたら恥ずかしい。常に足を動かそうと意識して、攻めるところは攻め、守るところは守る」ことを心掛け、その通りに実行した。
 緻密なコントロールでコーナーにボールを散らし、甘い返球は早いタイミングで叩いてエースを奪う。清水が繰り出す強打に対しては、俊敏なフットワークを生かして辛抱強く拾い、ロングラリーを強いて、ミスを引き出す。

 疲れに加え、左足を痛めて鎮痛剤を飲んでいたという清水は「今日の野口選手はミスがなく、長いラリーをせざるを得なくて、しんどかった」と吐露する。試合の主導権はほぼ野口が握り続け、清水の10回のサービスゲームのうち、実に7回もブレークに成功した。

 唯一流れが変わりかけたのが、第2セット第5ゲームで野口がブレークされ、2-3とリードを許した場面。清水がギアを上げて渾身の攻撃を仕掛けたが、野口は「ここは耐える時間だと思った。これがずっと続くわけがないと思って耐えた」と冷静だった。すぐさま清水のサービスをブレークバックすると、一気に優勝まで突っ走った。

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