テニス界の生ける伝説、ロジャー・フェデラー(スイス)は、2020年に負傷した右ヒザの状態に苦しんでいる。21年ウインブルドン準々決勝でフベルト・フルカチュに敗退後、3度目の手術に踏み切った。40歳という年齢からも復帰には時間はかかるが、本人は完全復活へ向けて意欲を示している。
フェデラーの美しいテニスを象徴する、サービスからのドライブボレーについて、元日本代表コーチの丸山薫さんに解説してもらった。
* * *
フェデラーは『ハンドの神様』。手の感覚が素晴らしく良いのです。テニス界には昔からサーブ&ボレーは存在していましたが、サーブ&ドライブボレーを取り入れたのはフェデラーです。だからこそ、攻撃テニスの象徴なのです。
サービスを打った後にスプリットステップをして、リターンが浮いたと判断したら前進します。フォアハンドなので、右利きの人なら軸足は右足。その右足を前にステップインして軸を作ります。これが、短時間でネットに詰めて打つ時のフットワークのコツです。
フェデラーのスイングで特徴的なのは、打点に向けてリストが先行し、ラケットヘッドがギリギリに出てくる点。つまり、ラケットヘッドが走るスピードが速いわけです。これを可能にしているのが、腕と背中の柔らかさです。
フェデラーは背中を中心にラケットが振れているのでしょう。テイクバックでは肩甲骨を中心にしてラケットを引き、その状態から振り出せています。まるで腕の存在を忘れるほど脱力ができているため、ムチのような腕の使い方になり、スイングスピードが速くなるのです。
史上最も強い選手は誰かという議論はよく行なわれますが、史上最も華麗なテニスをするのは誰かという点では、フェデラーで異論を挟む人はいないでしょう。プレーが見られる時を大切にしたいです。
取材・文●赤松恵珠子(スマッシュ編集部)
【連続写真】打点直前までリストが先行する、フェデラーのドライブボレー
フェデラーの美しいテニスを象徴する、サービスからのドライブボレーについて、元日本代表コーチの丸山薫さんに解説してもらった。
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フェデラーは『ハンドの神様』。手の感覚が素晴らしく良いのです。テニス界には昔からサーブ&ボレーは存在していましたが、サーブ&ドライブボレーを取り入れたのはフェデラーです。だからこそ、攻撃テニスの象徴なのです。
サービスを打った後にスプリットステップをして、リターンが浮いたと判断したら前進します。フォアハンドなので、右利きの人なら軸足は右足。その右足を前にステップインして軸を作ります。これが、短時間でネットに詰めて打つ時のフットワークのコツです。
フェデラーのスイングで特徴的なのは、打点に向けてリストが先行し、ラケットヘッドがギリギリに出てくる点。つまり、ラケットヘッドが走るスピードが速いわけです。これを可能にしているのが、腕と背中の柔らかさです。
フェデラーは背中を中心にラケットが振れているのでしょう。テイクバックでは肩甲骨を中心にしてラケットを引き、その状態から振り出せています。まるで腕の存在を忘れるほど脱力ができているため、ムチのような腕の使い方になり、スイングスピードが速くなるのです。
史上最も強い選手は誰かという議論はよく行なわれますが、史上最も華麗なテニスをするのは誰かという点では、フェデラーで異論を挟む人はいないでしょう。プレーが見られる時を大切にしたいです。
取材・文●赤松恵珠子(スマッシュ編集部)
【連続写真】打点直前までリストが先行する、フェデラーのドライブボレー