海外テニス

「エキジビションに近いような気がする」大坂なおみがポイントが付かないウインブルドンの欠場を示唆。ナダルも見解を示す<SMASH>

中村光佑

2022.05.24

全仏OPでアニシモアに敗れ1回戦敗退となった大坂なおみ。(C)Getty Images

 現地5月23日に行なわれたテニス四大大会「全仏オープン」(5月22日~6月5日/フランス・パリ/クレーコート/グランドスラム)の女子シングルス1回戦でアマンダ・アニシモワ(アメリカ/世界ランク28位)にストレートで敗れた大坂なおみ(同38位)。その試合後の記者会見ではランキングポイントの付与停止が正式に決定した「ウインブルドン」(6月27日~7月10日/イギリス・ロンドン/芝/グランドスラム)の欠場を示唆した。

 ウインブルドン主催側は今年2月末に発生したロシアのウクライナ侵攻を受け、4月20日に同大会からのロシア・ベラルーシ人選手の除外を発表した。

 ところがこの決定に以前から反対の声を上げていたATP(男子プロテニス協会)は現地5月20日に公式声明を通じて「公平性を保つため、出場する選手にランキングポイントを付与しない」と通告。これに同調する形でWTA(女子テニス協会)も「個々のスポーツに参加する選手が、国籍やその国の政府が下した決定だけを理由にペナルティを受けてはならない。女子テニスでもランキングポイントを付与しない」と公表した。すなわち今年のウインブルドンは実質的にエキジビションマッチのような大会になるということだ。

 それを踏まえた上で大坂は今年のウインブルドンを「ポイントなしで出場したら、エキジビションに近いような気がするわ」と位置付け、「出場するかどうかはわからない。今はプレーしない方向に傾いている」と発言。一方で「もしかしたら変わる可能性はある」としたものの、以下のように不満を漏らした。

「(最高峰のウインブルドンが)エキジビションマッチのようにならないことはわかっている。でも私の脳は、そのように感じてしまう。エキジビションのようなものだと思うと、100%で戦えない。私は自分のランキングが上がるとか、そういうことでモチベーションが上がるタイプだから」
 
 またジョーダン・トンプソン(オーストラリア/82位)との初戦を突破し、全仏14度目の優勝へ向けて好スタートを切った男子世界5位のラファエル・ナダル(スペイン)も試合後のオンコートインタビューでウインブルドンのランキングポイント付与停止措置に言及。

 ATP選手評議会の一員であるナダルは「明確な意見はない」と前置きしつつも、「必要なのは難しい決断を下す人たちだ。選手はそのような難しい決断を下す権限はない」と主張。その上で「下された決定を受け入れようとしている」とし、次のように締めくくった。

「ウインブルドン運営側も会員を守るATPも、すべての関係者を尊敬している。ここには正解と不正解があるわけではなく、両者の判断に正当な理由があるのだと思う。僕はただ彼らが座って交渉し、皆にとってより良い解決策を見つけることを望むだけだ」

 世界ランキングは各プレーヤーの強さを表す大事な指標の1つだ。だがポイントが与えられないとなれば、大坂以外にも欠場を考える選手が続々と出てくる可能性も否定はできない。ウインブルドン開幕まで残り1カ月、今後の動向に注目が集まりそうだ。

文●中村光佑

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