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海外テニス

33歳で年間1位のナダル。年齢に合わせたプレースタイルの変化が、効率の良い勝利をもたらした

誉田優

2019.11.17

33歳で年間ナンバーワンに輝いたナダル。まだまだ進化する彼のテニスに来年も期待。(C)Getty Images

33歳で年間ナンバーワンに輝いたナダル。まだまだ進化する彼のテニスに来年も期待。(C)Getty Images

  11月15日(現地時間)、2019年の男子テニス世界王者にチャンピオンカップが贈られた。2年ぶり、5度目の年間チャンピオンとなったラファエル・ナダル。2001年に15歳でプロデビューしてから数々の偉業を成し遂げてきたナダルは今年、33歳で年間男子テニスランキングの頂点に上り詰めた。2018年に31歳で同ランキング1位を獲得したジョコビッチの最年長1位の記録を塗り替えたこととなる。

  2018年シーズン終盤では、ヒザの負傷により試合に出ることができず、ランキング争い上位に食い込みつつも、ジョコビッチの追い上げにより惜しくも2位となった。治療に専念するために、出場を予定していたブリスベン国際大会を棄権したナダル。開幕初戦は、全豪オープンとなった。決勝でハードコートを得意とするジョコビッチに負け、準優勝となったが、2019年シーズンもナダルとジョコビッチのライバル関係が浮き彫りとなる試合だった。

 全豪オープン以降も、負傷による棄権や不調な時期が続いたナダルが、今シーズンで初の優勝を果たしたのは5月のローマ・マスターズ。決勝戦でジョコビッチを破ると、直後の全仏オープンでもドミニク・ティームを破り、12回目の優勝を飾った。
 今季特に際立ったのが、サービスの進化と攻撃の早さだった。速度よりも安定を優先し、回転の多かったサービスをフラット系で攻撃的に。これによって、相手をサービスで崩しやすくなったため、これまでより早くポイントを決められるようになった。

 また、ベースライン後方から長いストロークラリーで組み立てるスタイルから、ネットプレーを増やし、ロングラリーを減らすことで、身体の負担と消耗を抑え、体力温存に成功している。全ては33歳のナダルがツアーの一線で戦い続けるために必要なものとして取り入れたものと言える。

 さらに、10月には14年来の恋人であったシスカ・ペレロさんとついに結婚式を挙げ、公私にわたる充実が、この最年長ナンバーワンの基盤となっていることは間違いないだろう。

 11月のパリ・マスターズで腹筋の炎症を起こし途中棄権し、「Nitto ATPファイナルズ」ではラウンドロビンで2勝1敗としたものの、得失セット数で残念ながら準決勝進出には至らなかったが、ダニル・メドベージェフ戦では、ファイナルセット1-5のマッチポイントから逆転勝ちを収めるなど、ナンバーワンの底力を見せつけた。

 この後は、ナダルの母国・スペインにて開催される国別対抗戦のデビスカップに出場予定だが、腹筋の故障も抱えているだけにパフォーマンスへの影響が心配されるところ。順調であれば、2019年最後のナダルVSジョコビッチ戦を見ることができるかもしれない。

 そして、2020年シーズンは、東京オリンピックでも活躍が期待される。日本食、特に鉄板焼きが好物だと語るナダル。これまでにも2度のオリンピックで金メダルを獲得した経験のある33歳の挑戦から、来年も目が離せない。

文●誉田優
フリーライター。早稲田大学スポーツ科学部卒業。
Twitter:yu__honda/Instagram:yu__honda
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