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海外テニス

全米オープンテニスはロシア・ベラルーシ人選手の出場を容認。一方でウクライナへの財政支援も推進予定<SMASH>

中村光佑

2022.06.15

昨年の全米オープンを制したロシアのメドベージェフ。ロシア人選手の出場が認められ、今年は連覇に挑むことになる。(C)Getty Images

昨年の全米オープンを制したロシアのメドベージェフ。ロシア人選手の出場が認められ、今年は連覇に挑むことになる。(C)Getty Images

 今年8月末から開催されるテニスの四大大会「全米オープン」(8月29日~9月11日/アメリカ・ニューヨーク/ハードコート/グランドスラム)を主催する全米テニス協会(USTA)が、日本時間6月15日未明に同大会へのロシア・ベラルーシ人選手の出場を認めることを公式に発表した。

 今年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻はスポーツ界にも大きな影響を与えており、無論テニス界も例外ではない。間もなく開幕する「ウインブルドン」(6月27日~7月10日/イギリス・ロンドン/グランドスラム)の大会運営側は今年4月20日に「強硬政策の一環だ」としてロシア・ベラルーシ人選手の出場禁止を通告した。だが先の全仏オープンではその他のツアー大会と同様に国名と国旗の使用を認めなかったものの、特に両国の選手に対する個人での締め出しが行なわれることはなかった。

 ウインブルドンの出場禁止措置には依然として賛否両論が巻き起こっているが、年内最後のグランドスラムとなる全米ではどのような決定が下されるのかファンや海外メディアの間でも注目が集まっていた。

 そんななか、全米テニス協会はこのほどリリースした公式声明で「(引き続き)中立な国旗を使用したうえではあるが、USTAはロシアとベラルーシの選手が2022年の全米オープンに出場することを認める」と公表。
 
 続けて同大会への2国の選手の参戦許可を決断した経緯について次のように説明した。

「USTAはその他のテニス統括団体と共に、ロシアとベラルーシのテニス連盟を国際テニス連盟(ITF)、ないしは全ての国際団体競技会から追放し、これらの国の選手が国際団体競技大会以外に参加する際には中立の旗の下でプレーするよう指示することを支持した」

「私たちは各団体がその決定に影響を与える独自の事情に対処しなければならなかったことを認識している。(その)独自の事情に基づき、我々USTAは国籍を問わず、資格のある全ての選手に2022年全米オープンへの出場を認める」

 一方で同協会はウクライナへの支援強化を目的として、「今年の全米オープンは“Tennis Plays for Peace(テニスは平和のためにプレーする)プログラム”の人道的活動を推進するためのプラットフォームとして活用する」と発表。

 そのうえで「USTAはウクライナに対する既存の人道的努力を増幅させるために、大規模な財政支援を含む広範で包括的な一連のイニシアチブを導入する予定であり、その詳細は近日中に発表される」とした。

 すなわち現時点ではウインブルドンがロシア・ベラルーシ人選手への厳しい制裁を課している唯一の大会となるわけだ。今回のUSTAの決定に、選手たちはどのような反応を示すのだろうか。

文●中村光佑

【PHOTO】メドベージェフをはじめ全米オープン2021で躍動した男子選手たち
 

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