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片手バックハンドのスピンをガスケから、戦術をエバンスから学んだ守谷総一郎【プロが憧れたプロ|第24回】<SMASH>

赤松恵珠子(スマッシュ編集部)

2022.06.23

片手バックのスピンが秀でているガスケ(左)と戦術に長けているエバンス(右)。右下が守谷総一郎。写真:Getty Images、滝川敏之

 現在、プロとして活躍している選手も、現役を引退してコーチをしている人も、小さい頃には憧れのプロがいたはずだ。【プロが憧れたプロ】シリーズの第24回は、今年現役を引退したばかりの守谷総一郎。

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 守谷はジュニア・デ杯で日本代表としてプレーし、世界1位に貢献。片手バックハンドとセンス溢れるネットプレーが特徴で、ダブルスでの活躍が目立つ選手だった。アレルギーの影響でワクチンが打てない守谷は、コロナ渦でテニス選手を続ける限界を感じて引退を決意。しかし、テニスへの思いは強く残り、現在はMTSテニスアリーナ三鷹強化選手のコーチとして活動している。

「カッコいいし、色々なショットを打ちたかった」という理由で両手ではなく片手バックハンドを選んだ守谷は、ジュニア時代からプロの動画を見て研究してきた。特にお気に入りだった選手は、リシャール・ガスケとダニエル・エバンスだ。

「ガスケは片手バックのスピンを自由自在に操っている感じ」と特にスピンを参考にした。「両手バック並みに回転量が多く、スピンでしのぐこともできます。そして、(クロスに打った時)外に跳ねさせることができるんです。それをマネしようとして、僕もグリップが厚くなりました」

 ガスケのプレーで特に衝撃的だったのが、2013年マイアミ・オープンのアンディ・マリーとの試合。長いラリーの後、センターマーク付近から逆クロスでエースを取ったショットだ。あともう1つ、2010年フレンチオープンでのマリー戦で、コートのかなり後ろから放ったバックのダウンザラインのリターンエース。話しながら動画も見せてくれた。
 
「片手バックでエースが取れると盛り上がるし、自分も気持ちがいいんです。ガスケのプレーを見て、どうしたらダウンザラインや逆クロスでエースが取れるかを考えるようになりました」と、実際に試合でバックのダウンザラインを打つ頻度が増えたという。

 もう1人、エバンスから学んだのは組み立てだ。片手バックで「スライスの使い方がうまい」のが特徴で、彼の組み立てを見ることで、「強いショットをそこまで打たなくてもいいんだ」と思えるようになったという。

「球種、深さ、コースを打ち分けて組み立て、突然リズムを変えたりします。1球1球、探りながらラリーをしているようで見ていて面白いです。ただボールを打つのではなく、何かをするためにこのボールを打っていると考えられるようになりました」

 つまり、「考えてテニスをする」ことをエバンスから学んだわけだ。最後に自分のプレーの上達のために、どういう選手を参考にするといいのかを聞くと、「なりたい選手とマネできる選手は違うので、グリップや打ち方が自分に近い選手がいいです」とのこと。もしあなたが、厚めのグリップで片手バックハンドを打つタイプなら、ガスケとエバンスを参考にしてみてはいかがだろうか。

取材・文●赤松恵珠子(スマッシュ編集部)

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