現在、プロとして活躍している選手も、現役を引退してコーチをしている人も、これまでに憧れてきたプロがいたはずだ。【プロが憧れたプロ】シリーズの第26回は、高校生プロの伊藤あおい選手(サリュートテニス専門学院)をピックアップ。
◆ ◆ ◆
伊藤あおいは2019年の全国中学生で優勝、昨年のインターハイで準優勝。現在、通信制高校の3年生に在学中だが、すでに今年3月にプロ転向している。その理由は「賞金をたくさんもらうため」と明快だ。
以前から一般の大会にも数多く出ていた伊藤は、周りのプロと同じ成績を残しても賞金を手にできない(※アマチュアは日当のみ)ということに、もどかしさを感じていた。遠征や選手活動をする上での資金的な問題もあるが、それ以上に「メンタル的にしんどかった」ため、プロ転向を決断した。
彼女の話を聞いていると、自分の気持ちに正直なタイプなのだろうと感じる。プロ転向にまつわる説明もだが、例えば「憧れの選手はシェー・スーウェイ(謝淑薇)さんです」というのもそうだ。34歳のベテランで、技巧派の台湾人選手。今どきの高校生ならもっと攻撃的で華やかなトッププロに憧れそうなものだが、伊藤はこう語る。
「自分のプレーは特殊なんです。足をめっちゃ動かすとか、体力じゃなくて、テクニックで勝負する。細くても外国人選手に勝てるプレー。シェーさんみたいなテニスを目指して、特殊になろうとしています」
実際、伊藤のテニスは変幻自在というか、奇想天外というか、シェーのテニスを地で行くようなものだ。強打に頼らず、相手の意表を突くコースに返球したり、フォアのスライスやドロップショットを巧みに混ぜたり、かと思えば突然ライジングで叩いたりもする。
激しく走らされてやっと届いたボールでも、相手の動きの逆を突いてアングルにドロップショットを決めてしまう様などは出色だ。その緩急の妙は見ていて面白く、それこそ"お金を取れるテニス"である。
先日行なわれた「SBCドリームテニスツアー第2戦」では、そんな頭脳的なプレーで先輩プロの瀬間詠里花、倉持美穂らを破り、準優勝と健闘した。そして賞金を手にした伊藤。
「今回は50万円もらえるので、すごく感謝してます!」またまた正直に話し、笑顔を見せた。
取材・文●渡辺隆康(スマッシュ編集部)
取材協力●SBC Dream Tennis Tour 2022
【PHOTO】伊藤あおいが準優勝した「SBCドリームテニスツアー/第2戦」の大会スナップ集
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伊藤あおいは2019年の全国中学生で優勝、昨年のインターハイで準優勝。現在、通信制高校の3年生に在学中だが、すでに今年3月にプロ転向している。その理由は「賞金をたくさんもらうため」と明快だ。
以前から一般の大会にも数多く出ていた伊藤は、周りのプロと同じ成績を残しても賞金を手にできない(※アマチュアは日当のみ)ということに、もどかしさを感じていた。遠征や選手活動をする上での資金的な問題もあるが、それ以上に「メンタル的にしんどかった」ため、プロ転向を決断した。
彼女の話を聞いていると、自分の気持ちに正直なタイプなのだろうと感じる。プロ転向にまつわる説明もだが、例えば「憧れの選手はシェー・スーウェイ(謝淑薇)さんです」というのもそうだ。34歳のベテランで、技巧派の台湾人選手。今どきの高校生ならもっと攻撃的で華やかなトッププロに憧れそうなものだが、伊藤はこう語る。
「自分のプレーは特殊なんです。足をめっちゃ動かすとか、体力じゃなくて、テクニックで勝負する。細くても外国人選手に勝てるプレー。シェーさんみたいなテニスを目指して、特殊になろうとしています」
実際、伊藤のテニスは変幻自在というか、奇想天外というか、シェーのテニスを地で行くようなものだ。強打に頼らず、相手の意表を突くコースに返球したり、フォアのスライスやドロップショットを巧みに混ぜたり、かと思えば突然ライジングで叩いたりもする。
激しく走らされてやっと届いたボールでも、相手の動きの逆を突いてアングルにドロップショットを決めてしまう様などは出色だ。その緩急の妙は見ていて面白く、それこそ"お金を取れるテニス"である。
先日行なわれた「SBCドリームテニスツアー第2戦」では、そんな頭脳的なプレーで先輩プロの瀬間詠里花、倉持美穂らを破り、準優勝と健闘した。そして賞金を手にした伊藤。
「今回は50万円もらえるので、すごく感謝してます!」またまた正直に話し、笑顔を見せた。
取材・文●渡辺隆康(スマッシュ編集部)
取材協力●SBC Dream Tennis Tour 2022
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