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国内テニス

「海外遠征でオールラウンドに戦うことを学んだ」亜大3年の山崎郁美が成長を証明するインカレ初優勝!<SMASH>

渡辺隆康(スマッシュ編集部)

2022.08.22

山崎郁美(左/右上)は攻守のバランスが取れたテニスで神鳥舞(右下)を振り切り、学生女王の座に就いた。写真:スマッシュ編集部

山崎郁美(左/右上)は攻守のバランスが取れたテニスで神鳥舞(右下)を振り切り、学生女王の座に就いた。写真:スマッシュ編集部

 男子第90回・女子第66回を迎えた「2022年度 全日本学生テニス選手権」(インカレ)が8月15日から三重県・四日市テニスセンターで開催され、大会最終日の21日に各種目の決勝戦が行なわれた。女子シングルスは山崎郁美(亜細亜大学3年)が神鳥舞(早稲田大学3年)を6-3、4-6、6-1で破り、初の学生女王の座に就いた。

 山崎が成長の跡を見せた決勝だった。相手の神鳥は高い打点からの強打や角度をつけたスピンで、先手を取って攻撃してくるタイプ。山崎はそれを懐深く受け止めて、反撃に転じた。

「海外遠征に行って、パワフルな外国人選手相手に小柄な自分が通用するには、打たれても深く返し続け、時にはネットに出て、オールラウンドに戦わなくてはいけないと学んだ」

 山崎が身をもって積んだ経験は、この決勝でそのまま生きた。

 第1セット、総じて攻めていたのは神鳥だったが、「相手がしぶとくて、自分の苦手なところを狙ってきて、我慢しきれなかった」と神鳥自ら振り返るように、競りながらも重要なポイントを取るのは山崎だった。6-3で山崎が先取する。

 第2セットは神鳥が6-4。これは「真ん中へのボールを多めに使ったりして、相手に無理させた」(神鳥)、「ちょっと打ちすぎてしまった」(山崎)という2人の言葉通り、第1セットとは役割が入れ替わったような内容。
 
 勝敗を分けたのは第3セット第4ゲーム、神鳥の1-2からのサービスだった。神鳥は0-40のピンチから挽回してアドバンテージを握るが、そこをキープし切れず、山崎が先にブレークに成功する。

「第3セットは戦術を変えて、1本我慢しよう、そして甘い球が来たら打とう」と切り替えた山崎の作戦が、見事にハマったブレークだった。

 これでガックリきたのか、神鳥は「体力的に厳しい部分があって、思うように展開できなくなった」と足が止まる。以降は山崎が1ゲームも落とさず突っ走り、6-1で神鳥を突き放した。

 山崎は去年の夏の関東学生を制しているが、大学の全国タイトルは初めて。「これを自信にして、もっと海外で通用するオールラウンドなプレーを追求したい」と向上心を見せる。また、敗れた神鳥も学生大会の決勝進出は初めてで「優勝するためには何が足りないのかを考えて、取り組んでいきたい」と前を向く。2人はまだ3年生。今後も競り合いながら力を伸ばしていくだろう。

 なお女子ダブルスは神鳥がシングルスでの悔しさを晴らし、齋藤優寧(早大2年)とのペアで初優勝した。神鳥のスピンと、齋藤の重い強打が噛み合い、昨年優勝の吉岡希紗/石川琴実(早大4年/4年)を逆転で破った。

◆女子シングルス決勝
山崎郁美(亜大)6-3 4-6 6-1 神鳥舞(早大)

◆女子ダブルス決勝
神鳥舞/齋藤優寧(早大) 2-6 6-4 [10-3] 吉岡希紗/石川琴実(早大)

取材・文●渡辺隆康(スマッシュ編集部)

【PHOTO】2022年度全日本学生テニス選手権、シングルス&ダブルス決勝スナップ集
 

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