海外テニス

ウインブルドン決勝で飲酒の女性客を退場させたキリオス。当人から名誉棄損で訴えられる<SMASH>

中村光佑

2022.08.24

ウインブルドン決勝で、キリオスはプレーの邪魔をするとして酔客の退場を主審に求めた。それが今になって裁判に…。(C)Getty Images

 歯に衣着せぬ物言いで度々メディアに取り沙汰される男子テニス世界26位のニック・キリオス(オーストラリア)が、ある女性ファンから名誉棄損で訴えられていることが明らかになった。

 事の発端はキリオスがノバク・ジョコビッチ(セルビア/6位)と対戦して敗れた今年7月のウインブルドン男子シングルス決勝での一幕だ。

 キリオスは第3セット途中で「俺がサービスを打つ時に女性の観客が邪魔をしてくる」と主審に猛抗議。その際に「彼女は気が狂いそうなほど酔っていて、700杯の酒を飲んでいるように見える」とも言い放ち、その女性を観客席から退場させるよう求めたのだ。

 イギリスのタブロイド紙『Daily Mail』によると、母親と一緒に観戦していた女性はキリオスの抗議に応える形で一度はセンターコートから退出したが、最終的には客席に戻ることを許可されたという。

 ポーランド出身で普段は医療弁護士として活動するこの女性はキリオスの言葉が「私に大きな損害と苦痛を与えた」として、名誉棄損の訴訟を起こすための法的手続きを進めている。以下は彼女が現地8月23日にイギリスの法律事務所「Brett Wilson LLP」を通じて発表した公式声明文の抜粋である。
 
「ウインブルドン決勝の最中に、ニック・キリオス氏は私に向かって向こう見ずで全く根拠のない主張をしました。熟考した結果、私は自分の汚名を晴らすために、Brett Wilson LLPにキリオス氏に対して名誉毀損の訴訟を起こすよう依頼する以外に方法はないという結論に達しました。えん罪を勝ち取ること、そしてそのような(根拠のない)主張が繰り返されるのを防ぐことが、法的措置を講じる理由です」

「現行の請求権を考慮すると、私はその日の出来事についてこれ以上コメントすることはできません。キリオス氏が私と私の家族に与えた損害を反省し、この問題の迅速な解決を申し出てくれることを望んでいます。もし彼がそれを望まないのであれば、私は高等法院でその正当性を証明することを約束します」

 ちなみにこの女性はキリオスのファンで、実際にはお酒を2杯しか飲んでいなかったが、この日は気温が高かったため行き過ぎた応援をしてしまったと説明している。

 なお、具体的な詳細こそ明かさなかったものの、女性は「得られた損害賠償金は人道支援チャリティーに寄付する」とも表明。この一件についてキリオス側はまだコメントを出していない。

文●中村光佑

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