海外テニス

36歳のベテラン、ガスケが約4年半ぶりのツアー優勝!崖っぷちからの逆転に「信じられないような試合だった」<SMASH>

中村光佑

2023.01.15

シャンパンを掲げて久しぶりのツアー制覇を喜ぶガスケ。「タイトルを取れるとは思っていなかった」と率直に語った。(C)Getty Images

 男子テニスツアー「ASBクラシック」(1月9日~14日/ニュージーランド・オークランド/ハードコート/ATP250)は現地14日にシングルス決勝を実施。世界ランク67位のリシャール・ガスケ(フランス)が同12位で第2シードのキャメロン・ノーリー(イギリス)を4-6、6-4、6-4の逆転で破り、キャリア通算16度目となるツアー優勝を飾った。

 ノーシードでの出場となった今大会、初戦から順調に勝ち上がった36歳のガスケは、準々決勝で元世界7位のダビド・ゴファン(ベルギー/現53位)を逆転で撃破。準決勝で対戦するはずだった同郷のコンスタン・レスティエンヌ(65位)が試合前に棄権を表明し、ノーリーとの決勝へ駒を進めていた。

 迎えたこの日の決勝、ガスケは新シーズン開幕から負けなしと絶好調のノーリーに第4ゲームで先にブレークを許す苦しい展開に。第9ゲームでブレークバックに成功したものの、続く第10ゲームで2度目のブレークを献上し、第1セットを落としてしまう。

 それでも第2セットに入ってからは相手にブレークポイントを与えない安定したプレーを披露。力強いフォアハンドを起点に主導権を握り、第5ゲームで奪った1ブレークのリードを守り切って1セットオールに持ち込む。

 しかし、勝負のファイナルセットでは第1ゲームから3ゲームを連取され、第4ゲームでも0-40となり絶体絶命のピンチ。ここを何とか切り抜けて流れをたぐり寄せたガスケが、第6ゲームから立て続けに5ゲームを獲得して勝利を収めた。
 
 ガスケのツアー優勝は2018年6月の「リベマ・オープン」(オランダ・スヘルトーヘンボス/芝/ATP250)以来実に約4年7か月ぶりのことだ。試合後に行なわれた表彰式では久々のタイトルを手にした喜びよりも、驚きの方が勝っていると語った。

「前回優勝したのは2018年だった。今年で37歳だから、先週ここ(オークランド)に来た時、次の土曜日にここで優勝すると言われても、おそらく信じられなかっただろう。タイトルを取れるとは思っていなかった。特に第3セットでは3ゲーム連取を許して、第4ゲームでも0-40まで追い込まれたから、僕にとっては信じられないような試合だった」

 その一方で今をときめくトッププレーヤーに競り勝って大きなトロフィーを掲げられたことを誇らしく思っているとコメント。「サービスでプレッシャーをかけながらパフォーマンスを発揮できた。世界最高の選手の1人であるキャメロンに勝てて、本当にうれしいよ」と話した。

 間もなく開幕する年内最初のテニス四大大会「全豪オープン」(1月16日~29日/オーストラリア・メルボルン/ハードコート)に向け、大きな弾みをつける結果を残したガスケ。若手プレーヤーが続々と台頭している中でのベテラン選手の活躍は多くのファンの心を打ったことだろう。この勢いで全豪でも上位進出を狙ってほしいところだ。

文●中村光佑

【PHOTO】ガスケのサービスフォームの変遷。2010年と2017年を比較した連続写真
 
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【動画】ガスケが大逆転でノーリーを破ったASBクラシック決勝ハイライト