海外テニス

「常に注意しながら行動するように伝えた」全豪主催者がジョコビッチ一家に警鐘を鳴らす<SMASH>

中村光佑

2023.01.29

全豪のトーナメントディレクターを務めるタイリー氏(左)と10度目の全豪優勝を目指すジョコビッチ(右)。(C)Getty Images

 大詰めを迎えているテニス四大大会「全豪オープン」のトーナメントディレクターを務めるクレイグ・タイリー氏がオーストラリアメディア『The Age』のインタビューに回答。元世界王者のノバク・ジョコビッチ(セルビア/現世界ランク5位)の父親がロシア国旗を掲げるファンと動画撮影をした騒動を受け、同選手の家族に「注意を払ってほしい」と警鐘を鳴らした。

 既報の通り、現地1月25日に行なわれたテニス四大大会「全豪オープン」の男子シングルス準々決勝の試合後にジョコビッチの父親であるスルジャン・ジョコビッチ氏がスタジアムの外でロシアを支持する1人の男性との動画撮影に応じ、その時の画像がSNS上でも拡散された。現在もスルジャン氏は各方面から批判を浴びている。

 米経済誌『Forbes』によれば、スルジャン氏は「私はこれまでしてきたようにノバクの勝利をファンと一緒に祝い、写真を撮っただけ。こんな騒動を起こすつもりはなかった」と反省。さらに「私の家族は戦争の恐怖を経験していて、戦争を支持するなんてことも決してない。平和だけを願っている」と釈明の言葉も残したという。

 そして、その直後には息子のジョコビッチが「父親は誤解されている」と主張。騒動の経緯について「父親は(会場の外で)通りすがりに写真を撮影したが、周りにセルビアの国旗がたくさんあったから、自分がセルビア人の誰かと写真を撮ったと思っていた。それだけのことだ。父は試合後に僕のファンと交流するのが恒例になっているからね」と詳しく説明している。
 
 今回のインタビューで、タイリー氏はジョコビッチ一家と「話をすることができた」と前置きし、「スルジャン氏がいかなる戦争を支持していないことも確認できた。彼らは騒動を起こしてしまったことに対して真摯な態度を見せており、今後はこのようなことを避けるように意識するとも述べていた」とコメント。

 一方でタイリー氏は警告を兼ねる形でジョコビッチの家族に「常に注意しながら行動するように伝えた」と明かしたうえで、以下のように続けた。

「全豪のような大規模なイベントは、非常に重要なメディアのプラットフォームになりえる。その中での出来事には気を配らなければならない。何らかの害を与えるために大会に来ている人々も存在するので、そういった騒動を起こさないことを心掛けるようにと伝えておいた」

 なお、今回の全豪に第4シードで出場しているジョコビッチは初戦から順調に勝ち上がり、現地1月28日に行なわれたシングルス準決勝でトミー・ポール(アメリカ/世界35位)をストレートで下して決勝進出を果たした。同大会10度目の優勝を懸け、決勝では第3シードのステファノス・チチパス(ギリシャ/同4位)と対戦する。

文●中村光佑

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