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「テニスの楽しさを取り戻すことだ」ケガで不調続きの元世界6位の名手が現在の心境を語る<SMASH>

中村光佑

2023.04.25

出場大会で早期敗退が続くベレッティーニが、長らく抱えている苦悩について語った。(C)Getty Images

 男子テニス元世界ランク6位のマテオ・ベレッティーニ(イタリア/現21位)が母国イタリアのライフスタイルマガジン『Style Magazine』のインタビューに登場。度重なるケガで苦しい時期が続いていることを踏まえ、現在の心境を語った。

 2021年7月のウインブルドンでグランドスラム(四大大会)初の決勝進出を果たし、昨年1月の全豪オープンでは、イタリア人選手として初めてとなる同大会ベスト4入りを成し遂げた27歳のベレッティーニ。ところがここ最近は、フィジカルコンディションの不調に悩まされており、昨年9月の全米オープンでベスト8に進出して以降は、出場大会での早期敗退や途中棄権が増加傾向にある。

 新シーズンに入ってからも得意とする1月の全豪で初戦敗退。春の米国マスターズでも結果を残せず、3月中旬に急遽出場した下部大会「フェニックス・チャレンジャー」(アメリカ・フェニックス/ハードコート/ATPチャレンジャー)でも、まさかの準々決勝敗退に終わるなど、なかなか調子が上がってこない。

 クレーシーズンに突入してからは今月初旬の「ロレックス・モンテカルロ・マスターズ」(ATP1000)でベスト16に進むも、ホルガー・ルネ(デンマーク/現7位)との3回戦を腹斜筋負傷により試合前に棄権。現地4月21日には自身のSNSを通じて、出場を予定していた今週開催のマスターズ1000大会「マドリード・オープン」(4月26日~5月7日/スペイン・マドリード)の出場辞退を正式に発表した。
 
 プライベートでも、芸能界やスポーツ界の大物と数々の浮き名を流したことで知られる同郷の人気セレブ、メリッサ・サッタさん(37歳)との交際を批判されるなど、まさに踏んだり蹴ったりな時期を過ごしているベレッティーニ。今回のインタビューでは、ここ2年ほどの自身のパフォーマンスを振り返りつつ、長らく抱えている苦悩を次のように語った。

「この2年間は、(トーナメントで)素晴らしい勝利が続いていたが、同時に疲れてしまうこともあった。ケガもあって、テニスの楽しさを感じられなくなり、いつも失った時間を取り戻さなければならないと思いながらコートを後にしていた。今、僕が望んでいるのは、テニスの楽しさを取り戻すことだ」

 昨季のクレーシーズンは右手の負傷で全大会欠場を余儀なくされただけに、今年のクレーシーズンでは「昨年失った分をいつか取り戻したいと思っている」という。「今はまだ思い通りにいっていない」と厳しい現実を嘆きつつも、最後には言葉を振り絞りながら「いまの僕に最も重要な大会は、マスターズ1000のイタリア国際とウインブルドンだ」と今後に向けての意気込みを簡潔に口にした。

 かつてないキャリアの正念場をどのように乗り越えていくのか、ベレッティーニ自身も頭を悩ませているようだ。まだまだ模索の日々は続くかもしれないが、再び彼がテニスの楽しさを思い出すまで辛抱強く見守りたいものである。

文●中村光佑

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