海外テニス

右ヒジのケガが心配されるジョコビッチに重鎮コナーズ氏が「特に心配はいらないだろう」と見解を示す<SMASH>

中村光佑

2023.05.02

右ヒジの古傷が再発し、クレーシーズン苦戦中のジョコビッチ(左)に対してコナーズ氏(右)がコメントした。(C)Getty Images

 1970年代から80年代にかけて活躍し、四大大会でも8度の優勝を経験している男子テニス元世界ランク1位のジミー・コナーズ氏(アメリカ/70歳)が、自身が配信するポッドキャスト『Advantage Connors』に出演。右ヒジのケガが心配されている世界王者のノバク・ジョコビッチ(セルビア)に言及し、「特に心配はいらないだろう」と楽観的な見方を示した。

 今年1月の全豪オープンで史上最多タイとなるグランドスラム(四大大会)22勝目を飾り、素晴らしい新シーズンのスタートを切った35歳のジョコビッチ。ところが2017年に深刻なケガを負った右ヒジの古傷が再発し、クレーシーズンに入ってからは苦戦を強いられている。

 4月初旬の「ロレックス・モンテカルロ・マスターズ」(ATP1000)で3回戦敗退を喫すと、その翌週の「スルプスカ・オープン」(ATP250)でも準々決勝で過去2勝0敗だった同胞のドゥサン・ラヨビッチ(現40位)にストレート負けを喫した。

 そして現在開催中の「マドリード・オープン」(4月26日~5月7日/スペイン・マドリード/クレーコート/ATP1000)は、右ヒジ負傷を理由に出場を辞退。現状ジョコビッチはケガの詳細について特にコメントを出していない。

 抜群の身体の柔軟性を兼ね備えるジョコビッチは、キャリアを通じて数えきれないほどの試合を戦ってきたにもかかわらず、負傷による長期離脱が非常に少ないプレーヤーの1人だ。それだけに今回の右ヒジの古傷再発には、海外メディアの間でも懸念の声が広がっている。
 
 それでもコナーズ氏は、数々の試練を乗り越えてきたジョコビッチが「困難な時期に直面しても落胆しないだけの経験を積んでいる」とコメント。「僕が落胆という言葉を使い続けているのは、一般的に落胆して自分を卑下するようなことがあれば、そこから脱却するのは時として難しいからだ」と前置きしつつ、こう続けた。

「落胆しないというのが大きなポイントだ。彼(ジョコビッチ)は長きにわたり、全てを勝ち取ってきた。彼は22度のグランドスラムタイトルを獲得している。だから、そのこと(右ヒジのケガ)についてはあまり心配していない」

 さらにコナーズ氏は勝ちを重ねることができなかったとはいえ、クレーシーズンに突入してからも何とかプレーできていることが、必ずやジョコビッチの今後にプラスになるだろうと主張する。

「彼は、あそこ(スルプスカ・オープン)に行って、2、3試合プレーしたわけだ。それはまた自信にもつながると思う。彼はまだ十分にプレーできていないし、試合数を重ねることを望んでいる。今の状況は彼のステータスやプレッシャーも原因になっているが、勝つことが成功を生む。(結果的には)勝てなかったけど、その大会では多くのものを得ることができたはずだ。そうであれば、彼に有利に働くだろう」

 海外メディア『Sportskeeda』によると、現時点でジョコビッチは5月10日から開幕するマスターズ1000大会「イタリア国際」(イタリア・ローマ/クレーコート)に出場を予定しているという。ひとまずは続報を待ちたいところだ。

文●中村光佑

【連続写真】股関節の柔軟性がパワーを生む、ジョコビッチのバックハンド