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【テニスギア講座】ストリングの太さによって何が変わる? 超々極細化が進むポリエステル系の注意点/後編<SMASH>

松尾高司

2023.05.17

プロ選手がポリ系を使いこなせるのは、ものすごくスイングが速いからで、一般愛好家とは基準が異なる。飛ばないポリを選びながら、飛ぶ細さを欲するのはいかがなものか? 写真:THE DIGEST写真部

プロ選手がポリ系を使いこなせるのは、ものすごくスイングが速いからで、一般愛好家とは基準が異なる。飛ばないポリを選びながら、飛ぶ細さを欲するのはいかがなものか? 写真:THE DIGEST写真部

 前回はストリング(通称ガット)の「太さ」によって何が変わるのか、全体的な傾向をお話ししました。今回は特に「ポリエステル系」のストリングについて補足したいと思います。

 近年目立ってきたのが「超々極細ポリエステル系」です。切れないから経済的……と勘違いされがちなポリ系ですが、最近ではメインの謳い文句が「耐久性」→「スピン」に移ってきています。

 それにより進んでいるのが、ストリング断面の「多角形化」と、「超々極細化」で、現在ではついに「1.05ミリ」というモデルも出現しています。どちらもポリエステルという素材だからこそ実現したスペックです。

 細さのメリットは「飛びが抑えられているポリの飛び性能を伸ばす」ことですが、飛ばないポリを選んでおきながら、今度は飛ばしたいという、人間の欲求の果てしなさを感じさせます。
 
 そして「切れにくい!」と謳うポリ系ですが、ここまで細いと、さすがに切れやすくはなります。また当然「伸縮性持続期間=性能寿命」も短くなるので、1.30ミリなどよりも、短期間で張り替えを行なわなければ、ポリ系のオイシさを味わうことはできません。

 超々極細ポリは、切れなくても頻繁な張り替えが必要だということをきちんと理解して使ってくださいね(ポリならば「太くても」だけど)。

 最後にひと言、ストリングの太さの鉄則を伝えます。

「ストリングの太さは、同モデル内で比較すること。自分は1.○○ミリ!などと決め付けて、他モデルと比較しないこと」

 違うモデルなのに同じ太さにこだわり、太さ基準で選ぶのはナンセンスです。まずどのモデルにするかを決め、それから太さについての先入観なしにストリンガーのアドバイスなどを聞き、自分に最適と判断したストリングを張り、ベストじゃなかった時には違う太さを試しながら、マイベストを探しましょう。

文●松尾高司(KAI project)
※『スマッシュ』2021年7月号より抜粋・再編集

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