海外テニス

元25位の名手シャルディが現役引退。ラストマッチは王者アルカラスに敗れるも「自分のキャリアを誇りに思う」<SMASH>

中村光佑

2023.07.06

新型コロナウイルスが引退を早める形となってしまったシャルディだが、「素晴らしい思い出ばかり」と現役生活を振り返った。 (C)Getty Images

 現地7月4日に実施されたテニス四大大会「ウインブルドン」のシングルス1回戦で現役最後の試合を終えた男子元世界ランク25位のジェレミー・シャルディ(フランス/現542位)が、試合後に母国の大手メディア『レキップ』のインタビューに登場。これまでのキャリアを回顧するとともに、悔いなく第2の人生をスタートできると語った。

 ジュニア時代にITFランキングで世界3位を記録するなど、早くからフランステニス界で注目を集めていたシャルディ。2005年にプロ転向して以降は、緩急自在のフォアハンドや巧みなネットプレーを武器にバランス型オールラウンダーとして活躍してきた。

 09年の「メルセデス・カップ」(ATP250)で悲願のツアー初優勝を飾ると、13年には全豪オープンで四大大会初のベスト8に進出。同年1月には世界ランキングで自己最高位となる25位をマークした。

 シャルディと言えばダブルスでも同郷のファブリス・マルタン(現複22位)と組み19年全仏オープンで準優勝を飾り、単複で安定した成績を残してきたプレーヤーの1人。そんな36歳の名手を悲劇が襲ったのは一昨年のことだった。

 実はシャルディは21年8月に新型コロナウイルスのワクチン接種を行なって以降、副作用による体調不良に苦しめられてきた。そのわずか1か月後に21年シーズン終了を告げてからは度重なるケガも相まってツアーを離脱。今年1月の全豪オープンで約1年4か月ぶりにシングルス復帰を果たすも、出場各大会で思うような結果を残せず、最近はダブルス中心に活動していた。
 
 ウインブルドン開幕直前に引退を表明したシャルディの現役最後の対戦相手は、20歳で世界1位に君臨するカルロス・アルカラス(スペイン)。相手の伸びのあるストロークに押されて1ゲームも取れないまま第1セットを落としたシャルディは、続く第2セットも2度のブレークを喫して2セットダウンに。第3セットこそ先にブレークを奪ったものの、サービスキープに苦戦して再び2度のブレークを献上し、0-6、2-6、5-7で敗れた。

 それでも今をときめくヤングスターと最後に対戦できたことだけでも満足だと語るシャルディは、「コートの上でお別れをしたかった」と強調しつつ以下のようにコメントした。

「コートの外でプロ生活を終えることは不可能だった。最初は全仏でシングルスのキャリアを終えようと思っていたけど、クレーでは全然うまくプレーできなかった。だからウインブルドン開幕までの6週間、できる限りの準備をした」

 最後には約18年にもわたる現役生活を次のように振り返った。

「自分のキャリアを誇りに思う。後悔はない。何シーズンもトップ50に入り、四大大会の2週目にも何度か到達した。素晴らしい思い出ばかりだから、もっとうまくやれたかもなんて思っていない。最後の最後まで本当に楽しめたし、今は他に素晴らしいことがあるから、それをスタートするのが待ちきれないよ」

 スペインのテニスメディア『Punto de break』によれば、シャルディはダブルスでプレーすることには含みを残したが、今後は主に同郷の有望選手、ウーゴ・アンベール(39位/25歳)の指導に携わると発言したという。これからは幸多きセカンドライフを過ごしてもらいたいものだ。

文●中村光佑

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【動画】シャルディのラストマッチとなったアルカラスとのウインブルドン1回戦ハイライト