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海外テニス

「精神衛生上、危険」女子テニス世界10位のカサキナが、誹謗中傷に満ちたSNSに警鐘<SMASH>

中村光佑

2023.07.06

多くのテニス選手はSNSで罵詈雑言を浴びている。カサキナもその一人であり、精神面での悪影響に警鐘を鳴らした。(C)Getty Images

多くのテニス選手はSNSで罵詈雑言を浴びている。カサキナもその一人であり、精神面での悪影響に警鐘を鳴らした。(C)Getty Images

 現在開催中のテニス四大大会「ウインブルドン」の女子シングルスで3回戦に進出した世界ランク10位のダリア・カサキナ(ロシア)。2回戦後の記者会見では、今や日常生活には欠かせないものとなっているソーシャルネットワークサービス(SNS)について言及し、「精神衛生上、多くの危険が潜んでいる」と自身の見解を主張した。

 最近のSNSの急速な普及により、テニス界では男女を問わず選手への誹謗中傷が深刻化している。ちなみにユーザーから寄せられる心無い言葉の大半は賭博絡みであり、以前には男子元世界28位のジョアン・ソウザ(ポルトガル/現317位)が自身のインスタグラムのストーリー(24時間で自動消去される投稿)を通じて、賭けに負けた輩から「お前は最低なやつだ!」「殺してやる」「ろくでなし」といった数々の罵詈雑言を浴びたと告白していた。

 また2021年の全米オープンでもSNSで書き込まれる誹謗中傷が大きな問題となった。一例を挙げると、同大会の女子シングルス3回戦で元世界女王のアンジェリーク・ケルバー(ドイツ)に逆転で敗れたスローン・スティーブンス(アメリカ/元3位/現39位)が、試合終了後に死の脅迫文をはじめ、2000件を超える侮辱的なメッセージを受け取ったことを自身のインスタグラムのストーリーで明かしていた。
 
 インスタグラムとツイッターの公式アカウントを持つカサキナも、罵詈雑言を浴びた経験があると語る。そのうえで彼女はSNSがはらむ危険性について以下のようなコメントを残した。

「正直なところ、SNSは精神衛生上危険だと思う。SNS上で見たコメントやメッセージには本当に(悪い)影響を受けたわ。多くの人に影響を与える可能性があるものだし、選手たちと競い合う上でのストレスやプレッシャーが大きい私たち選手にとってはなおさらのことだと思う」

 先の全仏オープンでは選手たちを誹謗中傷から守るためにAI(人工知能)を活用した無料検閲サービスを導入するなど対策強化は徐々に進んでいるが、それでもまだまだ課題は山積みである。テニスに限らずスポーツ界全体で議論を深め、今後も“誹謗中傷問題”に立ち向かっていく必要があるだろう。

文●中村光佑

【PHOTO】カサキナをはじめウインブルドン2023で熱戦を繰り広げた女子選手たちの厳選写真を公開!
 

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