海外テニス

コーチのイバニセビッチ氏がジョコビッチを指導する難しさを赤裸々に明かす!「うまくいかない時は非常に複雑な状況になる」<SMASH>

中村光佑

2023.12.05

2019年からジョコビッチ(右)のコーチを務めているイバニセビッチ氏(左)。世界王者が複雑な状況に陥るのは「試合に負けた時だ」と語った。(C)Getty Images

 男子テニス世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)のコーチを務める元世界2位のゴラン・イバニセビッチ氏(クロアチア/52歳)が、テニス系海外メディア『We are tennis』のインタビューに登場。そのなかでジョコビッチのような史上最高の選手を指導する難しさを赤裸々に語った。

 最高峰の四大大会を含めタイトルを総なめにしているにもかかわらず、ジョコビッチの闘争心は衰えることを知らない。来年5月に37歳を迎える彼の強さは、むしろ増している印象さえ受ける。その証拠に今季も四大大会3つ(全豪・全仏・全米)を制し、11月のパリ大会では節目のマスターズ40勝目を達成。来季はパリ五輪が開かれることもあり、2021シーズンに果たせなかった男子選手史上初の年間ゴールデンスラム(1年で全ての四大大会と五輪を制覇すること)にも期待は高まるばかりだ。

 幾多の輝かしい功績を収めている鉄人ジョコビッチを指導するのは、周りが思っている以上に難しいことだと、イバニセビッチ氏は力説する。「手なずけるのが簡単な男ではない。こう表現しよう」と切り出した同氏は、「何かがうまくいかない時は非常に複雑な状況になる」と、コーチ就任から4年以上が経った今でも試行錯誤を続けていると強調した。
 
 とりわけその「複雑な状況」に見舞われるのは「試合に負けた時だ」と明かすイバニセビッチ氏は、どこまでも勝ちにこだわるジョコビッチに対して「時々腹を立てることくらいしかできない」という。

 先のシーズン最終戦「Nitto ATPファイナルズ」ではラウンドロビン(総当たり戦)第2戦で過去3勝0敗だった22歳のヤニック・シナー(イタリア/4位)に初黒星を喫してからは「しばらく姿を見なかった」そうで、第3戦の開始直前まで「ウォーミングアップに行くのかどうかもわからなかった」と話した。

 それでもイバニセビッチ氏は、史上最高の選手を指導するコーチとして多少の厄介ごとも受け入れる必要があると割り切っている様子だ。

 常にトップをひた走ってきたジョコビッチにも「自分自身との戦いがある」ことや、「常にモチベーションを保つ」ことが困難であるのも承知しているとし、「彼はナンバーワンの選手だ。常にもっと多くのものを望んでいる。彼と改善していくのは非常に難しいが、彼はそれを望んでいる」と締めくくった。

 ジョコビッチの飽くなき探求心は目を見張るものがある。だからこそ大ベテランに達している今でも驚異的な成績を残せるのだろう。来季もジョコビッチがどのようなシーズンを送るのか注目しよう。

文●中村光佑

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