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ナダルの復帰を控え、コーチのモヤ氏が示す懸念は中1日での5セット「もし明日全豪が始まるとしたら本当に怖い」<SMASH>

中村光佑

2023.12.18

ナダルの復帰を支えるコーチのモヤ氏は、1日置きの5セットマッチにナダルが耐えられるかを懸念する。「そのサイクルこそ私が抱いている疑問だ」と明かした。(C)Getty Images

 2024年シーズン開幕と同時に約1年ぶりのツアー復帰を予定している男子テニス元世界1位のラファエル・ナダル(スペイン/現668位)。来年1月中旬に開催されるシーズン最初の四大大会「全豪オープン」(1月14日~28日/オーストラリア・メルボルン/ハードコート)の出場者リストにも入っているが、そこでのパフォーマンスについてコーチのカルロス・モヤ氏(スペイン/元1位/47歳)は「懸念事項の1つだ」と率直な心境を語っている。

 22度の四大大会優勝を誇る37歳のナダルは今年1月の全豪を最後に股関節のケガでツアーを離脱。同箇所の手術を経て、現在は練習の強度もかなり上げてきており、12月初めに24年シーズン開幕戦の「ブリスベン国際」(23年12月31日~24年1月7日/オーストラリア・ブリスベン/ハードコート/ATP250)での戦線復帰を発表した。だが依然フィジカル面の不安は大きいようで、先日公開した自身のSNSでは、今年5月に示唆していた"来季限りでの引退"について、やはり可能性はあると発言していた。

 16年末にナダルのコーチに就任したモヤ氏も、ナダルが復帰直後から以前の強さを発揮するのは難しいのではないかとATPのインタビューで予想している。「彼は非常に順調に進んでいるトレーニングを経て試合に臨むつもりだ。だが練習と同じコンディションを試合で保つことは不可能だ」

 現状ナダルはプロテクトランキング(負傷離脱前のランキングで大会にエントリーできる救済措置)9位を行使して全豪にエントリーしているが、当時34歳だった2010年に長引く足のケガで現役引退を余儀なくされたモヤ氏は、幾多のケガに悩まされてきた同郷のレジェンドが5セットマッチの長丁場となる四大大会でプレーするのは非常に心配だと明かす。「まだ1カ月の時間がある」としつつも、次のように続けた。
 
「5セットをプレーして勝って、1日休んでその翌日にはまた次の試合に出る...そのサイクルこそ、彼が四大大会でプレーすることに関して私が抱いている疑問だ。もし明日全豪が始まるとしたら、本当に怖い。その前にはブリスベンの大会があり、また厳しいトレーニングがあるから、これら全てが彼を耐えられる状態にしてくれるとは思う。でも今はそれが心配なんだ」

「復帰後の最初の9大会はプロテクトランキングを使ってプレーできるが、それによって1回戦から非常に強い相手と対戦することを回避できるわけではない。我々はラファに試合数を重ねてほしいから、ドローが重要な役割を果たすのは明らかだ。彼はあまりにも強いから、リズムを取り戻す必要性は考えたこともなかった。でも今は状況が違う」

 とは言えモヤ氏は度々ケガから完全復活を遂げてきたナダルには、どうしても期待感を抱いてしまうとも明かす。「我々は彼のプレーに興味があり、彼が試合に勝って完全にレベルを取り戻せるかという点にも注目したい」と締めくくった。

 何はともあれブリスベンでナダルがどんなプレーを見せてくれるのか楽しみだ。鉄人の華麗なるカムバックに期待したい。

文●中村光佑

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