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国内テニス

ITF早大国際が5年ぶりに開催!「学生がゼロから作り上げた」石井弥起TDに聞く復活への道のり<SMASH>

渡辺隆康(スマッシュ編集部)

2024.03.19

5年ぶりに再開された早稲田国際オープン(左)。ジャッジや受付など、学生自らが献身的に働いた(右上/右下)。写真:スマッシュ編集部

5年ぶりに再開された早稲田国際オープン(左)。ジャッジや受付など、学生自らが献身的に働いた(右上/右下)。写真:スマッシュ編集部

 日本開催のITF(国際テニス連盟)ワールドツアーの男子第2戦「TeamREC・早稲田大学インターナショナルテニスオープン」(M15)が東京・早大東伏見コートで3月19日に開幕した。コロナ禍のため4年間中断していたが、5年ぶりの復活である。

「大学フューチャーズシリーズ」として2007年に始まり、日本テニスの底辺強化やファン層の拡大にも貢献してきた早大国際。トーナメントディレクターを務める石井弥起早大監督にも特別な思いがあろう。再開までの道のりについて聞いた。

「今回は準備が本当に大変でした」と開口一番に語った石井氏。4年間、開催できなかったということは、そのノウハウを知る現役部員がいないということだ。

「大会に携わってきた経験が途切れてしまい、“引き継ぎ”というのができない。学生たちがゼロから作り上げました。過去の資料を調べたり、卒業生に連絡してアドバイスを受けたりして、何とか開催にこぎつけましたね」

 早大国際に限らず、大学シリーズは部員の学生たち自らが手作りで運営する大会だ。トーナメントの進行はもちろん、スポンサー探し、広報、経理、ホテルや練習の対応、ジャッジやボールパーソンの手配、イベント企画、グッズ販売、ケータリング、警備等々……仕事は山のようにある。それらを皆が手探りでこなした。

「5年ぶりなので、とりあえずシンプルにがモットーでした」と石井氏は言うが、蓋を開けてみれば立派なもの。本戦初日を見る限り、全てが滞りなく進み、出場選手たちも気持ち良くプレーできていたように映った。

 石井氏は「学生たちも今回でどう運営すればいいかを把握できたので、来年はもっとしっかり準備し、選手ファースト、お客さんへのサービスも充実させたい」と希望を見いだしている。
 
 もう1つ、この中断で大きかったのは、選手強化の停滞だ。もともと大学シリーズは学生やジュニアに世界へ挑戦する場を与える目的で、彼らが参加しやすい春休みに創設された。ここで力を付け、卒業後にプロになった選手も数多い。

「大学に国際大会があれば、普段できない上の選手と戦えるし、見て学ぶこともできる。それが4年間なかったのは、学生の強化という面でも影響はあったと思います」と石井氏は語る。

 実は石井氏は08年に現役選手として第2回早大国際に出場し、当時早大新1年生の片山翔と対戦したことがある。大会の初期から現在までの大学テニスを知る彼は、「学生のレベルは10数年で格段に上がったし、層も厚くなった」と実感している。

 それが4年間、なかったわけだ。「例えば島袋将(20年早大卒)は、ここで世界に出るための経験を積めました。白石光(23年早大卒)などは、この大会があれば在学時にもっとランキングを上げられたと思います」と石井氏は悔しさをにじませる。

 このブランクは大きいが、再開したことを前向きに捉え、ここから一層の強化につなげていくしかない。今大会では早大の新1年生、前田優がワイルドカードで予選に出場し、1回戦で第9シードの小倉孝介を破る健闘を見せた。こうした経験をまた1つずつ積み重ねて、意義のある大会にしていってほしい。

取材・文●渡辺隆康(スマッシュ編集部)

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