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【テニスルール虎の巻】クレーコートの「ボールマークによる判定」で両者の意見が食い違う場合はどうする<SMASH>

スマッシュ編集部

2024.05.05

クレーコートの試合では「ボールマークに基づく判定」ができるが、セルフジャッジで両者の意見が食い違った場合はどう対応すべきか?(C)Getty Images

 多くのアマチュアは自分自身でゲームの判定を下す「セルフジャッジ」でテニスの試合をしています。「自分で判定するなら簡単」と思うかもしれませんが、それは大間違い。いい加減な判定によってトラブルを起こすことが多々あるからです。

 そうしたトラブルなしで試合を楽しむには、とにかくルールに詳しくなることが大切です。そこでテニス四大大会の出場経験を持つ元プロ選手で現在公認審判員も務める岡川恵美子氏にケース別でルールについて解説してもらいました。

 今回は「ボールマークによる判定」です。クレーコート(土のコート)の微妙な判定の際にボールマーク(ボールが着地した跡)を指摘したところ、相手は「それではない!」と違うマークを示してきました。このように両者の意見が違ってしまった場合は、どのように対応すればいいのでしょうか…。

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 こうしたケースではロービングアンパイア(コート外を巡回している審判)を呼んで対応してもらうことになりますが、だからといってロービングが「こっちのマークですよ」と判定を下すことはありません。なぜなら、その場面を見ていないからです。

 ただ「どこから、どんなショットを打ちましたか?」といった状況の確認や、そのボールマークが新しい物なのか古い物なのかを検証することはあります。

 例えば、打たれたショットが速くてサイドに切れるボールならば、細長いボールマークが付き、スマッシュなどの上から下へのショットの場合は丸いマークになります。

 また、弱いロブだったりすると小さい丸の跡が残ります。ショットによってボールマークの形や大きさは変わってくるのです。
 
 検証をする際に一番大事なのは、そのボールマークが新しいか、古いかです。マークの上に砂が乗るなどしている場合は古いものと思われるので「これは今のボールマークではないようですね」となります。

 そうした検証を経て「ならば、このボールマークではありませんか?」となります(断定はしません)。そうしたやり取りの中でお互いが認めてくれれば、その上でロービングは「イン」か「アウト」の判定を下すことはできます。

 とはいえ最後までお互いが「いや絶対に違う!」と主張して退かない場合は、セルフジャッジなので最初にジャッジした側の判定が成立します。

 クレーコートの場合は打ってからすぐにボールマークを見て「アウト」とコールすることも可能です。ボールマークとラインの間に隙間がなければプレー続行です。

解説●岡川恵美子
17歳で全日本選手権を制覇して日本初の高校生プロとなる。グランドスラム(四大大会)では、全豪オープン3回戦進出をはじめ、全仏オープンやウインブルドンの本戦に出場。現在はベテラン大会に挑戦しながら、ITF公認審判員、JTA公認審判員も務める。

構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2023年10月号より抜粋・再編集

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