男子テニス元世界ランク1位のロジャー・フェデラー氏(スイス)が、6月9日にアメリカのダートマス大学の卒業式に登壇しスピーチを行なった。同大学はアイビーリーグ8校の1つに数えられる名門で、ニューハンプシャー州にある。彼の長年のエージェントであるトニー・ゴッドシック氏の母校であり、彼の娘も卒業生として列席していた。
雨が降る中11,000人の聴衆が集まった会場で、最初こそ緊張の面持ちだったフェデラー氏だが、ユーモアを交えながらのスピーチは約25分にわたった。その内容は、グランドスラム通算20勝を達成したレジェンドならではの見事なものだった。
「覚えておいてほしいのは、大学のキャンパスに私が足を踏み入れるのは文字通り2度目だということ。でも、どういうわけか私に博士号を授与してくれるんです(笑)。私はただスピーチしに来ただけなのに"ロジャー博士"として家に帰れる。これはかなりうれしいボーナス。間違いなくこれまでで最も予想外の勝利ですね」
冒頭でユーモラスに語ったのは、自らのロジャー・フェデラー財団を通じた慈善活動への貢献が認められ、名誉人文学博士の学位を授与された件について。スクールカラーのグリーンや同大発祥とされるパーティーゲームの「ビアポン」を引き合いに出しながらウインブルドンを語るなど笑いを誘いつつ、3つの重要な教訓を卒業生たちに送った。
1つは「楽な勝利なんて神話だ」ということ。史上最も優雅なプレーヤーとされるフェデラー氏だが、強調したのは裏にあったハードワークや規律、忍耐強さといった価値観の大切さだ。「ほとんどの場合、才能があるかどうかではなく、気概があるかどうかだ」とまで言っている。
2つ目は「たかが1ポイントに過ぎない」ということ。フェデラー氏は、キャリアの1526試合で実に80%以上の勝率を残し、103ものタイトルを獲得している。しかし、ポイントで見ると54%しか取っていないという。つまり、どんな選手でも全てのポイントを取ること、完璧にやることなど不可能。それを認め、対処する方法を学ぶことが大事だと説く。それはテニスだけでなく、人生も同じだと。
最後は「人生はコートよりも広い」ということ。世界トップ5に入っていた時でさえ、フェデラー氏は旅行や文化、友情、そして家族などを大切にし、実りある人生を送ろうとしてきたという。学位につながった慈善活動もまさにこの考えに沿うものだろう。
卒業生たちに、「どこかの街で私を見かけたら、20年後でも30年後でも、白髪でも髪がなくても、呼び止めてこう言ってほしい。『あの日、私はそこにいました。2024年の同級生なんです』と」と親密に語りかけたフェデラー。そして最後に人生をテニスに例えてこんな言葉を送っている。
「どんなゲームを選ぶにせよ、ベストを尽くしてください。ショットを狙ってください。何でもやってみてください。そして何よりも、お互いに親切にしてください。そして楽しんでください」
構成●スマッシュ編集部
【動画】ダートマス大学卒業式でフェデラーがスピーチをする様子
【PHOTO】あの名シーンも!史上屈指のライバル、フェデラー&ナダルの"若かりし頃"ギャラリー
【連続写真】身体の使い方に無理がないフェデラーのフラットサービス『30コマの超分解写真』
雨が降る中11,000人の聴衆が集まった会場で、最初こそ緊張の面持ちだったフェデラー氏だが、ユーモアを交えながらのスピーチは約25分にわたった。その内容は、グランドスラム通算20勝を達成したレジェンドならではの見事なものだった。
「覚えておいてほしいのは、大学のキャンパスに私が足を踏み入れるのは文字通り2度目だということ。でも、どういうわけか私に博士号を授与してくれるんです(笑)。私はただスピーチしに来ただけなのに"ロジャー博士"として家に帰れる。これはかなりうれしいボーナス。間違いなくこれまでで最も予想外の勝利ですね」
冒頭でユーモラスに語ったのは、自らのロジャー・フェデラー財団を通じた慈善活動への貢献が認められ、名誉人文学博士の学位を授与された件について。スクールカラーのグリーンや同大発祥とされるパーティーゲームの「ビアポン」を引き合いに出しながらウインブルドンを語るなど笑いを誘いつつ、3つの重要な教訓を卒業生たちに送った。
1つは「楽な勝利なんて神話だ」ということ。史上最も優雅なプレーヤーとされるフェデラー氏だが、強調したのは裏にあったハードワークや規律、忍耐強さといった価値観の大切さだ。「ほとんどの場合、才能があるかどうかではなく、気概があるかどうかだ」とまで言っている。
2つ目は「たかが1ポイントに過ぎない」ということ。フェデラー氏は、キャリアの1526試合で実に80%以上の勝率を残し、103ものタイトルを獲得している。しかし、ポイントで見ると54%しか取っていないという。つまり、どんな選手でも全てのポイントを取ること、完璧にやることなど不可能。それを認め、対処する方法を学ぶことが大事だと説く。それはテニスだけでなく、人生も同じだと。
最後は「人生はコートよりも広い」ということ。世界トップ5に入っていた時でさえ、フェデラー氏は旅行や文化、友情、そして家族などを大切にし、実りある人生を送ろうとしてきたという。学位につながった慈善活動もまさにこの考えに沿うものだろう。
卒業生たちに、「どこかの街で私を見かけたら、20年後でも30年後でも、白髪でも髪がなくても、呼び止めてこう言ってほしい。『あの日、私はそこにいました。2024年の同級生なんです』と」と親密に語りかけたフェデラー。そして最後に人生をテニスに例えてこんな言葉を送っている。
「どんなゲームを選ぶにせよ、ベストを尽くしてください。ショットを狙ってください。何でもやってみてください。そして何よりも、お互いに親切にしてください。そして楽しんでください」
構成●スマッシュ編集部
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