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ウインブルドン決勝で終始感情を出さなかったジョコビッチ、「怒鳴り付けても僕の助けになるとは思えなかった」と回顧<SMASH>

中村光佑

2024.07.16

アルカラスとの決勝では自制的な態度でプレーしたジョコビッチ。「それ(感情表現を抑えたこと)が敗因になったというのはあり得ない」と試合を振り返った。(C)Getty Images

 先日行なわれた今季3つ目のテニス四大大会「ウインブルドン」の男子シングルスで2年連続の準優勝に終わった世界ランク2位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)が、母国のスポーツメディア『Sportklub』のインタビューに登場。その中で前回に続いてカルロス・アルカラス(スペイン/現3位)に敗れた決勝戦を振り返り、試合中に感情をあらわにしなかった理由を明かした。

 芝シーズンに入る直前に痛めていた右ヒザの手術を決行したジョコビッチは、そこから驚異の回復力を見せ、出場が難しいと思われていたウインブルドンで無事実戦に復帰。だが37歳の鉄人はそれだけに留まらなかった。

 ケガの影響を感じさせないプレーでホルガー・ルネ(デンマーク/同17位)、ロレンツォ・ムゼッティ(イタリア/同16位)といったフレッシュな若手を立て続けに破って決勝へと進出。しかし最後はディフェンディングチャンピオンのアルカラスに2-6、2-6、6-7(4)のストレートで屈し、同大会最多タイ8度目の優勝並びに四大大会25度目の優勝を逃した。

 ジョコビッチといえば、大事なポイントを取り切った時には大きな雄叫びを上げる、劣勢時でも観客を煽って会場のボルテージを上げるなど、どんな状況でも自らを奮い立たせながら重要な試合を勝ってきた印象が強い。しかし、今回の決勝では粘りを見せた第3セットも含めそのようなシーンは全くと言っていいほどなかった。
 
 これを踏まえて、インタビュアーからアルカラス戦での"自制的な態度"について問われたジョコビッチは「それは僕が負けた時によく言われることだ。『感情表現が非常に単調だった』みたいにね」と回答し、こう続けた。

「それ(感情表現を抑えたこと)が敗因になったというのはあり得ない。試合によっては何かを犠牲にしなければならない瞬間もあるし、最適なバランスを模索しながら落ち着いてエネルギーを維持し、それをより良い状況にするために活用することもある。

 仮に僕が第2セットの初めから人々に怒鳴り付けたり、観客と争ったりし始めていたらどうなっていたのかを自分でわかっていたんだ。そんな態度を取ることが僕の助けになるとは思えなかった」

 最後にジョコビッチは「カルロスにおめでとうと言いたい」と素直に勝者を祝福。「スポーツの観点から言えば、(単純に)彼は僕に勝った。また彼は次に進んでいくだろう」と若きヒーローへの期待を込めつつインタビューを締めくくった。

 ジョコビッチの自制的な態度は、終始プレーの質が落ちなかったアルカラスに対してお手上げ状態だったという意味もあったかもしれない。それはともかく、ジョコビッチもコンディションが不安視された中で決勝まで勝ち進んだのは、さすがとしか言いようがない。悔しさを糧に、束の間の休息を経て臨む「パリ五輪」(テニス競技は7月27日~8月4日/クレー)では初の金メダル獲得を期待したい。

文●中村光佑

【動画】ジョコビッチ対アルカラスの「ウインブルドン」決勝ハイライト

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