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【パリ五輪】ジョコビッチが悲願の金メダル獲得で生涯ゴールデンスラム達成!「心、魂、身体、家族、全てを捧げた」<SMASH>

中村光佑

2024.08.05

史上5人目となる生涯ゴールデンスラムを達成したジョコビッチ。勝利後には感激のあまりコートにひざまずき涙を流した。(C)Getty Images

 パリ五輪のテニス競技(7月27日~8月4日)は最終日の現地4日に男子シングルス決勝が行なわれ、第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア/世界ランク2位)が第2シードのカルロス・アルカラス(スペイン/同3位)に7-6(3)、7-6(2)で勝利。悲願の金メダルを獲得するとともに、男女を通じて史上5人目となる生涯ゴールデンスラム(キャリアで全ての四大大会と五輪を制すこと)を達成した。

 四大大会史上最多の24度の優勝をはじめ、これまでに数々の輝かしい功績を手中に収めてきた37歳のジョコビッチ。だが五輪にはとことん"縁"がなかった。過去4度出場で最高成績は2008年北京五輪の銅メダル。21年の東京五輪を含めうち3度は準決勝で敗れており、4年に1度の平和の祭典では何度も悔しい思いを味わってきた。だからこそジョコビッチにとっては喜びもひとしおのはずだ。

 ただ表彰台の真ん中に立つまでの道のりは決して平たんではなかった。ステファノス・チチパス(ギリシャ/11位)との準々決勝では6月に手術を決行した右ヒザをまたしても痛めてしまい、同箇所の治療を受ける場面も。それでもロレンツォ・ムゼッティ(イタリア/16位)との準決勝ではケガの影響を感じさせない素晴らしいパフォーマンスを見せ、6-4、6-2で快勝してメダル獲得を確定させていた。
 
 その決勝でジョコビッチが顔を合わせたのは、21歳にして四大大会4勝を誇るアルカラス。7月のウインブルドン決勝では2-6、2-6、6-7(4)のストレートで完敗を喫していたが故に、前評判では今回も非常に厳しいのではないかと予想されていた。

 だがいざ試合が始まると、ジョコビッチがウインブルドン決勝とは別人のようなプレーを披露する。アルカラスの力のあるショットに押されながらも安定したストロークでサービスキープを継続し、8度握られたブレークポイントも全てセーブ。しかし自身もリターンゲームでは5度あったブレークチャンスを生かせず、両者一歩も譲らないままタイブレークに突入する。
 
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37歳の鉄人が“5度目の正直”を成し遂げる