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引退した元王者マリーが現在の“意外な”心境を語る「テニスが恋しくなると思っていたけど、全く逆だね」<SMASH>

中村光佑

2024.09.11

先のパリ五輪を最後に現役生活に幕を閉じたマリー。現在は家族と一緒に気ままに過ごし、テニスを恋しくは思わないとのこと。(C)Getty Images

 今夏のパリ五輪で現役生活を終えた男子テニス元世界ランク1位のアンディ・マリー氏(イギリス/37歳)が、英公共放送『BBC』が運営するラジオ放送『TODAY』に出演。その中で引退後の心境を語った。

 マリー氏は四大大会での3度の優勝を含め46ものツアータイトルを獲得。当時29歳だった2016年11月には自己最高位となる世界1位を記録した。しかし翌17年からは臀部の深刻なケガに悩まされ、人工関節の挿入手術を経て復帰を遂げてからも以前の強さは取り戻せず。パリ五輪開幕直前の今年7月23日に自身のSNSで現役を退くことを正式に表明した。

 迎えた五輪ではダニエル・エバンス(元21位/現178位)と組んで男子ダブルスに出場。ベスト8に進出するも、準々決勝でテイラー・フリッツ/トミー・ポール(アメリカ)に敗れ、約19年の現役生活にピリオドを打った。引退後は気楽に過ごせているそうで、またツアーでプレーしたいという気持ちも今は特にないという。

「プレーをやめてからは本当に自由になったと感じていて、やりたいことをする時間がたっぷりある。子どもたちに時間を割くことができ、自分のタイミングでゴルフをしたりジムに行ったりする自由な時間も持てている。本当にうれしいことだね。そんなふうに思うなんて予想していなかった。

 引退は(気持ち的に)難しいもので、テニスが恋しくなったり、ツアーに戻りたいと思ったりするだろうと思っていた。でもこれまでのところ、僕が考えていたこととは全く逆の気持ちだね」
 
 中でも子どもたちや妻との時間を存分に楽しめる点にマリー氏は満足感を得られている様子だ。ツアー転戦中はなかなか家族で一緒に過ごせない「罪悪感」に苛まれていたと明かす。

「ここ数年で難しかったのは、常に自分がやっていることに罪悪感が伴っていたことだ。例えば、3~4週間の遠征に出る時に家に子どもたちを置いて出て行くことや、妻と一緒にいられないことに対してね。子どもたちに会えないことはつらかった。

 ただ、いざ家で子どもたちと一緒にいると、トレーニングの後に家の中で走り回って足を使う時間が多くなってしまう。その時に『これが翌日のトレーニングやパフォーマンスに影響するのではないか? 足を休めるべきではないか?』などと考えてしまっていた。そういうのがここ数年は難しかった」

 今はその罪悪感もなくなったとマリー氏。「テニスを愛し続ける」と競技に親しみを示す一方、今後は得意のゴルフにも精を出すつもりでいるようだ。

 最後には「ハンデなしでプレーしたい。練習する時間はたっぷりある」とゴルファー転身も示唆。なお英紙『Metro』によれば、マリー氏は今月開かれる欧州ツアーの「BMW・PGA選手権」でプロアマデビューを果たす予定だという。

文●中村光佑

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