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【全日本テニス】引退表明の伊藤竜馬、フルセットの末に逆転勝利で初戦突破!「絶体絶命という感じでした」<SMASH>

スマッシュ編集部

2024.10.05

長きにわたり日本テニス界をけん引してきた伊藤竜馬が現役最後の舞台として選んだ全日本で逆転勝利を飾り2回戦へ駒を進めた。写真:滝川敏之

 テニスの日本チャンピオンを決める「三菱電機ビルソリューションズ 全日本テニス選手権99th」(10月4日~13日/東京・有明/ハードコート)では10月5日、男女シングルス1回戦が行なわれた。

 この日注目を集めたのは、今大会を最後に現役から退くことを表明している伊藤竜馬だろう。全日本で通算5度の決勝進出を果たし、2度にわたり優勝している元世界60位の36歳は、この日も元チャンピオンらしい底力を発揮。23歳の山中太陽を3-6、7-5、6-3の逆転で下し2回戦へと駒を進めた。

 センターコートで1度も練習していなかった伊藤は、想定以上に球足の遅いコートに「アジャストできなかった」こともあり、得意のフォアハンドが度々ラインを割るなどイージーなミスを連発。第4ゲームでサービスをブレークされると、そのリードを縮めることができず第1セットを3-6で失う。

 お互いにブレークを繰り返す緊迫の戦いとなった第2セットは4-5となり、山中のサービングフォーザマッチを迎える。山中はこの日サービスエースを量産しているだけに、観客の多くは伊藤の敗戦を想像したかもしれない。
 
 だが「結構、絶体絶命という感じでした」と振り返るが、それでも「(相手は)硬くなっている部分があるので、大事な場面で(それが)出てくるかなと思った」という伊藤は集中力をさらに高めてボールを追った。すると崖っぷちで値千金のブレークに成功。伊藤はこの日初めてコートに響きわたる大きな雄たけびを上げた。

 百戦錬磨の元チャンピオンは戦いの潮目を見逃さなかった。

「それまでは慎重に行き過ぎた感じもあったので自分自身を盛り上げて、逆に相手を飲み込むように行けた。そのひと踏ん張りが良かった」とは伊藤。5-5から2ゲームを連取して7-5で第2セットを奪うと、第3セットもアクセルを緩めることなく突き進む。そして5-3で迎えた第9ゲーム、最後は伊藤らしいフォアハンドの強打をオープンコートに突き刺して逆転劇を演じ切った。

 試合後に今回の全日本で求めていることを問われた伊藤は「結果というよりもファンの人や家族、スポンサーの人に僕の最後を見て欲しいという気持ちが強く、その中で1日でも長くいれたらという感じです」と語る。伊藤のラストダンスは続く。
 
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