海外テニス

メドベージェフが上海マスターズの使用球を「プロが使うのにふさわしくない」と苦言。西岡、ダニエルも賛同<SMASH>

中村光佑

2024.10.08

世界5位のメドベージェフは上海マスターズの使用球を「空中で止まってしまう感じ」と批判。西岡良仁やダニエル太郎(左下写真)も同様の意見を述べた。写真:THE DIGEST写真部、(C)Getty Images

 現在行なわれている男子テニスツアー「ロレックス上海マスターズ」(10月2日~13日/中国・上海/ハードコート/ATP1000)」で使用されているボールに対し、一部出場選手から不満の声が上がっている。

 最初に指摘したのは、すでにベスト16入りを決めている世界ランク5位のダニール・メドベージェフ(ロシア)。現地6日の3回戦でマテオ・アルナルディ(イタリア/36位)に5-7、6-4、6-4で辛勝した直後、中継カメラに皮肉を込めて「ナイスボール」とサインしたメドベージェフは、その後のオンコートインタビューで使用球の品質についてコメントした。

「プロの選手が使うものとしてはふさわしくないボールだ。今はたとえ最初に良いリターンができたとしても、その後の1回または2回はより良いリターンが打てず、ボール(の勢い)が空中で止まってしまう感じになる。つまり、勢いがなくなったボールで力強いショットを打てる選手が有利になるわけだ。ヤニック(シナー)やカルロス(アルカラス)のような選手には有利に働くだろうね」

 このメドベージェフの発言には、今大会初戦で腹斜筋の負傷により途中棄権を余儀なくされた西岡良仁(60位)、さらには2回戦で敗退したダニエル太郎(93位)の日本人選手2人も賛同の意を示している。西岡は7日に更新した自身のX(@yoshihitotennis)で上記のメドベージェフのインタビュー映像を引用し、ここ最近の各大会のコートコンディションにも触れつつ次のように記した。
 
「(上海に限らず)最近はこういった傾向のボールとコートが多くて、パワーある選手が圧倒的に有利で、タイミングとか緩急で戦う側からするともはや何も通用しない瞬間が増えてきた。どれだけ打っても相手を押し込めないからひたすら打たれて負けるってパターンが増えてもうそういうコートとボールの時は何もできない。

 だから最近は無理に出力を上げるために打ち方もガットの張り方も変えたりして対応するようにしてるけどやはり体が耐えられなくて痛いところが増えてくる。パワー無い選手にとっては本当にきついなー今は」

 これに続く形でダニエルも同日にX(@tarodaniel93)を更新し、上海の使用ボールは「基本打感がとても硬くてスピンがかからない感じで毎年フィーリングも違う。グラウンドゴルフできるんじゃないかって思うくらい重いです」と綴った。

 近年は大会ごとに異なるボールを使用していることによる選手の故障が増加傾向にあり、以前には四大大会最多の24勝を誇るノバク・ジョコビッチ(セルビア/現4位)も「ボールには一貫性が必要だと思う」と非難していた。

"選手の健康あっての大会"という概念が軽視されがちな現状は、ファンからしても看過できないものである。運営テニス団体は早急に何らかの対策を講じるべきではないだろうか。

文●中村光佑

【動画&画像】メドベージェフがボール批判する動画を引用して賛意を示した西岡のX画面

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