先日女子世界ランク5位のエレーナ・ルバキナ(カザフスタン)と新たにコーチ契約を結んだ名将ゴラン・イバニセビッチ氏が、海外メディア『Tennis Majors』のインタビューに登場。その中でまだ20代前半にして男子ツアーを牽引しているヤニック・シナー(イタリア/世界1位/23歳)とカルロス・アルカラス(スペイン/同3位/21歳)を“最高の選手”だと評した。
今季はアルカラスとシナーが主役となった年だった。アルカラスは全仏とウインブルドン、シナーは全豪と全米を制し、最高峰の四大大会で若い2人が2度ずつ優勝を分け合ったからだ。
ただしここまでのタイトル数はアルカラスが4に対し、シナーは7。また通算成績も試合数の違いこそあるものの、前者は52勝11敗、後者は65勝6敗。現時点の勝率ではシナーがアルカラスの82%を上回る91%という驚異的な数字を残しているのだ。加えてシナーは優勝した10月の「上海マスターズ」(中国・上海/ハード/ATP1000)で男女を通じてイタリア人選手初となる年間1位も達成した。
こうした記録を踏まえてか、イバニセビッチ氏は「彼らは異なる選手だが、2人がベストの状態にある時は、アルカラスよりシナーの方が優れていると感じる」とコメント。一方で自身が19年から今年3月まで指導した絶対王者ノバク・ジョコビッチ(セルビア/現5位)を除けば、現状ではアルカラスとシナーが最高の選手だと付け加えた。
「シナーは試合を通してより安定している。アルカラスも素晴らしいショットを打つが、簡単なミスをすることもある。それに今年、カルロスには説明がつかないような敗北もいくつかあった。ただ、ノバクを除けば、彼らはツアーで圧倒的な存在になるだろう。彼らの実力は他の選手たちよりもはるかに上だ」
それに待ったをかけようとしているのが、現在ランキングでアルカラスとシナーに割って入っている世界2位のアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ/27歳)だ。ズベレフはアルカラスと決勝を戦った今年6月の全仏オープンを含め四大大会で2度準優勝しており、全豪オープンでも2度の4強入りを経験。先週の「パリ・マスターズ」(フランス・パリ/ATP1000)ではツアー23勝目を飾っていた。
実力的にズベレフなら無双状態にあるシナーとアルカラスにも対抗できそうだが、イバニセビッチ氏はそう考えてはいない様子。ドイツテニス界の貴公子へ厳しい言葉を投げかけた。
「ズベレフはアップダウンが激しすぎる。彼はあるところまでは素晴らしいプレーをするが、本当に重要な試合や最高のパフォーマンスが求められる場面になると失敗してしまう。アルカラスやシナーに対しては、常にベストでいなければならない」
なおシナーとアルカラス、ズベレフの3人はまもなく開幕するシーズン最終戦「Nitto ATPファイナルズ」(11月10日~17日/イタリア・トリノ/ハード)に出場予定。今季最後となる三つ巴の戦いをファンも楽しみにしていることだろう。
文●中村光佑
【連続写真】軸がブレないシナーのフォアハンドのカウンターショット「30コマの超連続写真」
【連続写真】タメを作ってダウンザラインに叩いたアルカラスのフォアハンド「30コマの超連続写真」
【連続写真】エースの年間最多記録を持つイバニセビッチのフラットサービス
今季はアルカラスとシナーが主役となった年だった。アルカラスは全仏とウインブルドン、シナーは全豪と全米を制し、最高峰の四大大会で若い2人が2度ずつ優勝を分け合ったからだ。
ただしここまでのタイトル数はアルカラスが4に対し、シナーは7。また通算成績も試合数の違いこそあるものの、前者は52勝11敗、後者は65勝6敗。現時点の勝率ではシナーがアルカラスの82%を上回る91%という驚異的な数字を残しているのだ。加えてシナーは優勝した10月の「上海マスターズ」(中国・上海/ハード/ATP1000)で男女を通じてイタリア人選手初となる年間1位も達成した。
こうした記録を踏まえてか、イバニセビッチ氏は「彼らは異なる選手だが、2人がベストの状態にある時は、アルカラスよりシナーの方が優れていると感じる」とコメント。一方で自身が19年から今年3月まで指導した絶対王者ノバク・ジョコビッチ(セルビア/現5位)を除けば、現状ではアルカラスとシナーが最高の選手だと付け加えた。
「シナーは試合を通してより安定している。アルカラスも素晴らしいショットを打つが、簡単なミスをすることもある。それに今年、カルロスには説明がつかないような敗北もいくつかあった。ただ、ノバクを除けば、彼らはツアーで圧倒的な存在になるだろう。彼らの実力は他の選手たちよりもはるかに上だ」
それに待ったをかけようとしているのが、現在ランキングでアルカラスとシナーに割って入っている世界2位のアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ/27歳)だ。ズベレフはアルカラスと決勝を戦った今年6月の全仏オープンを含め四大大会で2度準優勝しており、全豪オープンでも2度の4強入りを経験。先週の「パリ・マスターズ」(フランス・パリ/ATP1000)ではツアー23勝目を飾っていた。
実力的にズベレフなら無双状態にあるシナーとアルカラスにも対抗できそうだが、イバニセビッチ氏はそう考えてはいない様子。ドイツテニス界の貴公子へ厳しい言葉を投げかけた。
「ズベレフはアップダウンが激しすぎる。彼はあるところまでは素晴らしいプレーをするが、本当に重要な試合や最高のパフォーマンスが求められる場面になると失敗してしまう。アルカラスやシナーに対しては、常にベストでいなければならない」
なおシナーとアルカラス、ズベレフの3人はまもなく開幕するシーズン最終戦「Nitto ATPファイナルズ」(11月10日~17日/イタリア・トリノ/ハード)に出場予定。今季最後となる三つ巴の戦いをファンも楽しみにしていることだろう。
文●中村光佑
【連続写真】軸がブレないシナーのフォアハンドのカウンターショット「30コマの超連続写真」
【連続写真】タメを作ってダウンザラインに叩いたアルカラスのフォアハンド「30コマの超連続写真」
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