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海外テニス

シフィオンテクの寛大処分に男子テニス界からも反発の声。キリオスは「知らなかったと言えばそれで済む」と皮肉<SMASH>

中村光佑

2024.12.01

シフィオンテク(右)のドーピング問題に端を発し、一貫しない処分にキリオス(左上)とシャポバロフ(左下)が批判の声を上げた。(C)Getty Images

シフィオンテク(右)のドーピング問題に端を発し、一貫しない処分にキリオス(左上)とシャポバロフ(左下)が批判の声を上げた。(C)Getty Images

 今年8月のドーピング検査で禁止薬物が検出されたものの、約1カ月の出場停止処分に留まりほぼ無罪判定となった女子テニス世界2位のイガ・シフィオンテク(ポーランド)に対し、一部の男子選手からも批判の声が上がっている。

 テニスの不正行為を監視する第三者機関「ITIA」の調査の結果、陽性反応はシフィオンテクが時差ぼけ解消のために服用していたポーランド製の薬にトリメタジジン(血管を広げて血流を良くする物質)が混入したことが原因と判明。本人に重大な過失がなかったため出場停止処分は9月12日から10月4日までの約1カ月となり、シフィオンテク側はこれを受け入れた。すでに3大会を欠場した分と合わせ、12月4日には処分が全面解除されるため、2025年シーズンの試合出場に影響はない。

 この寛大な裁定に、テニス界では反発が高まっている。男子選手で真っ先に声を上げたのは、例のヤニック・シナー(イタリア/1位)のドーピング問題でも不快感をあらわにしていた元世界10位のデニス・シャポバロフ(カナダ/現56位)だ。

 シャポバロフは28日にシフィオンテクのニュースが出た直後に自身のX(@denis_shapo)を更新し、「1カ月の処分ねぇ..へぇ」と投稿。これに難癖をつけてきたあるアカウントに対し、シャポバロフは禁止薬物検出並びに生体パスポートに関する違反により4年間の活動停止処分を受けた元女王のシモナ・ハレップ(ルーマニア)や、ドーピング検査を3回欠席したことで18カ月のペナルティを科されたミカエル・イーマー(スウェーデン)とシフィオンテクの扱いを比較した上で、次のように不満を綴った。
 
「ハレップや他の選手が同じようなことで異常なほど長い出場停止処分を受けたのは不公平だ。(今の)ドーピング規則は不公平だから、規則が変わること自体はうれしい。だがイーマーのような選手はいまだに出場停止処分を受けている。彼は一度も陽性反応が出ていないというのに」

 やはりあの“ご意見番”も黙っていなかった。シャポバロフ同様に度々シナーを糾弾してきたニック・キリオス(オーストラリア)も、シフィオンテクのドーピング問題を受けて29日に公式X(@NickKyrgios)に皮肉のコメントを投稿。「我々が(処分を逃れるために)使える言い訳は、シンプルに『知らなかった』というものだ。スポーツの最高レベルのプロは、今や「知らなかった」と言えばそれで済むんだ」と記した。

 シャポバロフとキリオスの指摘通り、シナーとシフィオンテクの処分の軽さは確かに前例からは大きく外れている。当分の間は混乱が続きそうだ。

文●中村光佑

【画像】トップ選手に対する処分の甘さを皮肉ったキリオスのSNS投稿

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