海外テニス

【伊達公子】スポーツ界に大きな影響を与えたクレーキング、ナダルの引退<SMASH>

伊達公子

2024.12.06

「やはり寂しいですね」と言う伊達公子さん。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 男子テニス元世界1位の「クレーキング」ことラファエル・ナダルが、母国で開催された国別対抗戦デビスカップで、スペイン代表として最後の試合をプレーして引退しました。彼のキャリアは長かったですし、その影響力も大きかったので、時代の流れを感じずにはいられません。

 ボルグとマッケンローや、サンプラスとアガシのように時代を作ったライバル関係は多々ありますが、フェデラーとナダルは特別でした。スポーツを取り巻く環境が変わってきた中での存在だったので、インパクトも強かったです。フェデラーは2022年に引退していますし、やはり寂しいですね。

 ナダルで最も印象に残っているのは、最初にローランギャロスで優勝した姿です。19歳で勢いがあり、当時テニス界に君臨していたフェデラーと真逆のタイプだったため、余計に惹き付けられるものがありました。ノースリーブのウェアでフィジカルをアピールし、野性味溢れる雰囲気でしたし、プレースタイルも違いましたから、これから男子テニス界が面白くなるだろうという期待を抱いたことを覚えています。
 
 スペインはもともと多くのクレーコーターを輩出していましたが、それを「クレーキング」にまで築き上げたのは素晴らしい実績です。それも、クレーキングに留まらず、芝やハードコートなど全てのグランドスラムを制するまでに、自身のテニスを進化さ続けせました。

 トップに立っても選手やテニスに対するリスペクトをコート上であそこまで示す選手もなかなかいません。まさに真のファイターで、自分の体調やケガを決して言い訳にせず、最後に握手をするまで戦う姿勢を貫く点も彼ならではでしょう。こういう姿勢はスポーツ選手に大きな影響を与えたと思います。

 現役を引退しても、自身のアカデミーもありますし、テニスに関わっていくことは間違いないでしょう。コートでプレーすることとは違う影響力を出し続けて、テニスの価値を上げてほしいですね。そうして、テニスに魅力を感じる子どもたちが増えることで、テニス人口が増加し、活性化につながっていくのではないでしょうか。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

【画像】あの名シーンも!史上屈指のライバル、フェデラー&ナダルの"若かりし頃"ギャラリー

【画像】ヒジ主導でテイクバックしてパワーを生み出す、ナダルのフォアハンド

【画像】ナダルのサービスフォームの変遷。2010年と2017年を比較したフォームの変化がわかりやすい連続写真