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海外テニス

【雑草プロの世界転戦記28】ジュニア期に単身で海外に移るのは考えもの。大人が近くにいる環境で規律ある生活を<SMASH>

市川誠一郎

2024.12.04

ジュニアが海外で活動する場合は、大人が近くにいて、規律ある生活や教育をサポートしてくれる環境を選びたい(※写真と文章は関係ありません)。写真提供:市川誠一郎

ジュニアが海外で活動する場合は、大人が近くにいて、規律ある生活や教育をサポートしてくれる環境を選びたい(※写真と文章は関係ありません)。写真提供:市川誠一郎

 25歳でテニスを始め、32歳でプロになった市川誠一郎選手は、夢を追って海外のITF(国際テニス連盟)大会に挑み続ける。雑草プレーヤーが知られざる下部ツアーの実情や、ヨーロッパのテニス環境を綴る転戦記。

―――◆―――◆―――

 これまで、ヨーロッパで選手活動することの利点や、テニスアカデミーの状況などについて紹介してきました。私は積極的なチャレンジを推奨してきましたが、1つ注意しておきたいことがあります。ジュニア期に単身で渡欧することについてです。

 大人であれば単身で行くことはお勧めできますが、ジュニアの場合は少し難しい部分が出てきます。ジュニア期の選手はテニス以外にも規律や様々な教育が必要で、親あるいは大人がある程度近くにいて、生活を共にしていることが非常に重要だからです。

 ヨーロッパのテニスアカデミーでは、大人がいないアパートをジュニア同士でシェアして生活しているケースがあります。また、アカデミーに併設された寮があり、名目上管理する大人がいても、日本の体育会の寮のように細かく大人が見ていたり、規律があるわけではありません。練習以外は野放しになっていることが非常に多く見受けられます。
 
 こうした環境にいるジュニアたちは、生活のリズムが乱れたり、元々しっかりしていた子も周りに感化され、豹変して帰ってきたりということがあります。この時期に身に付けるべき規律や自己管理を全く学ばず、それが選手としても致命的になることも少なくありません。

 それどころか、大人がいなければパーティー三昧で浮かれたり、アルコールやドラッグに手を出す危険さえあるのです。ジュニアを卒業したプロ選手でも、10代のうちは精神的に良好な状態を保つために、誰か大人が適宜ついていることが理想だと思います。

 テニス自体はどこでも十分な環境を得られるチャンスはあるので、別に有名なアカデミーに行く必要はないですし、日本人の選手同士で行く必要も全くありません。しかしジュニアの場合は、テニス以上に生活を共にする大人がいる環境を条件に加え、慎重に選ぶことをお勧めします。

文●市川誠一郎

〈PROFILE〉
1984年生まれ。開成高、東大を卒業後ゼロからテニスを始め、32歳でプロ活動開始。36歳からヨーロッパに移り、各地を放浪しながらITFツアーに挑んでいる。2023年5月、初のATPポイントをダブルスで獲得。Amebaトップブロガー「夢中に生きる」配信中。ケイズハウス/HCA法律事務所所属。

【画像】雑草プロの世界転戦記・ヨーロッパのジュニア大会情景集

【画像】雑草プロの世界転戦記・ヨーロッパのテニスアカデミーでの日常風景

【画像】雑草プロの世界転戦記・ヨーロッパ各国の下部ツアーの風景
 

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