海外テニス

元女王ハレップが試合敗退後にコート上で突然の引退表明!「泣きたくはない。素晴らしいキャリアだった」<SMASH>

中村光佑

2025.02.05

2度のグランドスラム優勝に世界1位君臨と、輝かしい実績を残してきたハレップ。母国の大会で初戦敗退後、突然の引退を表明した(写真は2019年ウインブルドン)。(C)Getty Images

 驚きとともに残念なニュースが飛び込んできた。現在行なわれている女子テニスツアー「トランシルバニア・オープン」(2月3日~9日/ルーマニア・クルジュ=ナポカ/室内ハードコート/WTA250)のシングルスで初戦敗退を喫した元世界ランク1位のシモナ・ハレップ(ルーマニア/現870位)が試合後のオンコートインタビューで現役引退を発表した。

 2022年「全米オープン」(四大大会)で禁止物質「ロキサデュスタット」の検出と、「生体パスポート」に関わる違反により4年間の出場停止処分を受けたハレップ。昨年2月にスポーツ仲裁裁判所(CAS)の審理で勝訴し即時復帰が可能になると、3月には「マイアミ・オープン」(WTA1000)で本戦ワイルドカード(主催者推薦/WC)を得て約1年7カ月ぶりのカムバックを遂げていた。

 しかしその復帰戦でヒザを負傷し、5月の「トロフィー・クラランス」(WTA125)を最後に戦線離脱。9月の「香港125オープン」(WTA125)で再び復帰を果たしたものの、今度は12月に出場したエキジビションマッチ「ワールド・テニス・リーグ」で古傷のヒザと肩を痛め、WCを得ていた新シーズン開幕戦の「ASBクラシック」(WTA250)と、先の「全豪オープン」(四大大会)は欠場を余儀なくされていた。

 現地2月4日に実施されたルチア・ブロンゼッティ(イタリア/72位)との今大会初戦で約2カ月ぶりの復帰戦を迎えたハレップだったが、結果は1-6、1-6で完敗。その直後だった。特別に行なわれたオンコートインタビューでハレップは「今日はクルジュで、皆さんの前でプレーしてから、コート上でテニスに別れを告げたかった」と引退を発表。
 
 その上で2度の四大大会優勝(18年全仏、19年ウインブルドン)を誇る33歳の元女王は自身の輝かしいキャリアを気丈に振り返りつつ、苦渋の決断に至った経緯を次のように説明した。

「泣きたくはない。素晴らしいキャリアだった。世界ランキング1位になり、四大大会でも優勝できた。それらは私が望んでいた全てだった。もちろん(引退後も)テニスは続けるけど、(ツアーでの)競争力を維持するにはもっと多くのことが必要で、現時点ではそれはもう不可能だと思った」

 突然の引退発表に鳴りやまない"衝撃の声"。確かにハレップはWCを獲得した今大会のドローセレモニーに出席した際、「完全には治らないケガと闘っている」と明かしてはいたが、「当然引退の時はいつか来るけど、いつになるかなんてわからない」と復活への意欲ものぞかせていた。それだけにまさか...と思っているファンが多いのもうなずける。

 粘りと気迫のプレーでツアー24勝を挙げた元女王のプレーがもう見られない。受け入れたくない事実ではあるが、ハレップがこれから進む道に、多くの幸せが待っていることを願いたい。

文●中村光佑

【動画】母国の大会で初戦敗退後、コート上でマイクを握り引退発表するハレップ

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