男子テニス元世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア/現5位)と元25位のバセク・ポスピシル(カナダ/現833位)が共同で設立したPTPA(プロテニス選手協会)が、反競争的行為や選手に対する組織的搾取を理由に、ATP(男子プロテニス協会)、WTA(女子テニス協会)、ITF(国際テニス連盟)、ITIA(国際テニス・インテグリティー・エージェンシー/不正監視機関)らテニスの主要統括団体を提訴したことが明らかになった。訴訟はワシントンDC、ニューヨーク、ロンドン、ブリュッセルで起こされている。
PTPAの公式サイトなど複数のメディアによると、22年のウインブルドン男子シングルスで決勝に進出したニック・キリオス(オーストラリア/元13位)を含む現役選手と元選手の12名以上が今回の訴訟を支持。訴状では、ATPら統括団体を“カルテル”(複数の事業者が競争を避けて利益を確保すべく合意すること)と表現し、持続不可能なスケジュールや特定のトーナメントへの出場を強制する無理なランキング制度、過剰な反ドーピング規定などを通じて選手の福利厚生を抑圧しているとの主張を展開している。
PTPA事務局長を務めるアフマド・ナサール氏は訴えを起こした経緯について、テニス界の現状を糾弾しつつ次のように説明している。
「テニスは崩壊している。被告ら(統括団体)が宣伝する華やかな世界の裏側で、選手たちは不公平なシステムにさらされている。自らの才能を搾取されたり、収入を抑制されたりしている上に、健康や安全まで脅かされている。対話による改革が何年も試みられたにもかかわらず、これらの問題は解決されていない。組織的欠陥に対処するには法的措置が必要な手段だ」
これに対しATPとWTAは、PTPAの主張には根拠がなく、「誤った情報でテニス界の分断を生んでいる」と強く反論。またITFは「テニスのグローバルな発展を確実にするために、収入の90%を再投資している」とし、ITIAも「信頼できる国際スポーツを実現するためには、強力なドーピング防止および腐敗防止プログラムが必要だ。我々はクリーンかつ公正なスポーツの実現に貢献する役割を誇りに思っている」とそれぞれ独自の見解を示している。
文●中村光佑
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PTPA事務局長を務めるアフマド・ナサール氏は訴えを起こした経緯について、テニス界の現状を糾弾しつつ次のように説明している。
「テニスは崩壊している。被告ら(統括団体)が宣伝する華やかな世界の裏側で、選手たちは不公平なシステムにさらされている。自らの才能を搾取されたり、収入を抑制されたりしている上に、健康や安全まで脅かされている。対話による改革が何年も試みられたにもかかわらず、これらの問題は解決されていない。組織的欠陥に対処するには法的措置が必要な手段だ」
これに対しATPとWTAは、PTPAの主張には根拠がなく、「誤った情報でテニス界の分断を生んでいる」と強く反論。またITFは「テニスのグローバルな発展を確実にするために、収入の90%を再投資している」とし、ITIAも「信頼できる国際スポーツを実現するためには、強力なドーピング防止および腐敗防止プログラムが必要だ。我々はクリーンかつ公正なスポーツの実現に貢献する役割を誇りに思っている」とそれぞれ独自の見解を示している。
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